2003 Fiscal Year Annual Research Report
反回神経再生に対する神経栄養因子の効果に関する基礎的検討
Project/Area Number |
14370547
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
湯本 英二 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40116992)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 聖子 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (70346998)
鮫島 靖浩 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50206009)
|
Keywords | 反回神経麻痺 / 神経成長因子 / 毛様体神経栄養因子 / 塩基性線維芽細胞増殖因子 / 神経再生 |
Research Abstract |
本研究では、神経成長因子(Nerve growth factor、NGFと略)、毛様体神経栄養因子(Ciliary neurotrophic factor、CNTFと略)、塩基性線維芽細胞増殖因子(Basic fibroblast growth factor、bFGFと略)が一側反回神経脱神経モデル動物(ラット)における延髄疑核に及ぼす効果を組織学的に検討した。なお、動物の操作はすべてペントバルビタール腹腔内投与による全身麻酔下に行った。一側反回神経を2mm切除し、断端を内径0.2mmのシリコンチューブに固定した。その際、チューブ内に各神経栄養因子を0.5nmol/lの濃度で注入した。処置後3週で脳幹を採取し舌下神経核吻側から下オリーブ核尾側までの連続切片を作成しニッスル染色を施して疑核運動神経細胞の細胞数を神経細胞の大きさごとに計測した。NGF群とbFGF群では、PBS群やCNTF群よりも大きい神経細胞が多くみられた。平均神経細胞数は処置群と無処置群の間に差を認めなかった。無処置群の神経細胞は60-900μm^2の範囲で100-200μm^2にピークを持つ右裾広がりの分布を示した。PBS群でも同様の分布を示したが、無処置群と比較すると400μm^2以上の大きな神経細胞が減少し、それ以下の小さな細胞が増加した。400μm^2以上の大きな神経細胞が占める割合はNGF群とbFGF群では無処置群とほぼ同じであり、PBS群とCNTF群よりも有意に高かった。平成14年度の研究結果とあわせて考えると、一側反回神経脱神経時にbFGFを局所投与すると、局所の神経再生と疑核運動神経細胞の萎縮防止の両方に良好な効果を有すると考えられた。
|
Research Products
(11 results)
-
[Publications] Yumoto E, et al.: "Relationship between 3D behavior of the unilaterally paralyzed larynx and aerodynamic vocal function"Acta Otolaryngol. 123. 274-278 (2003)
-
[Publications] 湯本 英二, 他: "甲状腺癌に起因する反回神経麻痺に対する神経再建術"音声言語医学. 44・4. 342-346 (2003)
-
[Publications] 湯本 英二, 他: "片側声帯麻痺に対する局麻下披裂軟骨内転術と甲状軟骨形成術I型の併用"喉頭. 15・2. 78-83 (2003)
-
[Publications] 湯本 英二: "高齢者に見られる音声障害の特徴と取扱い"日耳鼻専門医通信. 78. 8-9 (2003)
-
[Publications] 湯本 英二: "両側声帯正中位固定症に対する声門開大術"耳鼻咽喉科展望. 47・1. 10-18 (2004)
-
[Publications] 熊井 良彦, 他: "嚥下性肺炎患者のビデオX線透視検査所見の特徴について"日本耳鼻咽喉科学会会報. 107・1. 7-11 (2004)
-
[Publications] 竹村 考史, 他: "誤嚥性肺炎患者に対する誤嚥防止術後のQOL改善度"日本耳鼻咽喉科学会会報. 107・2. 133-138 (2004)
-
[Publications] 西村 友紀子, 他: "過去20年間の気道異物症例の検討"耳鼻咽喉科臨床. 97・2. 155-160 (2004)
-
[Publications] Yumoto E: "Aerodynamics, voice quality, and laryngeal image anal ysis of normal and pathologic voices"Current Opinion in Otolaryngology-Head and Neck Surgery. 印刷中.
-
[Publications] Yumoto E, et al.: "Three-dimensional characteristics of the larynx with immobile vocal fold"Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 印刷中.
-
[Publications] 湯本 英二: "今日の耳鼻咽喉科頭頸部外科治療指針"医学書院. 354-355 (2003)