2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性網膜変性症の分子病態にもとづく新しい薬物治療の有効性
Project/Area Number |
14370552
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中澤 満 弘前大学, 医学部, 教授 (80180272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大黒 幾代 弘前大学, 医学部, 講師 (90305235)
石黒 誠一 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (20111271)
大黒 浩 弘前大学, 医学部, 助教授 (30203748)
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Keywords | 網膜色素変性 / GCAP2遺伝子 / カルシウム拮抗剤 |
Research Abstract |
本研究の目的は網膜色素変性に代表される遺伝性網膜変性疾患の原因遺伝子検索とその結果もたらされた分子病態の知見にもとづく薬物治療の可能性について検討することである。まず第1の原因遺伝子検索については我々が以前から候補遺伝子として注目していたGCAP2遺伝子が常染色体優性網膜色素変性の原因遺伝子となりうることが判明したことが挙げられる。さらに家系調査による遺伝子異常と臨床像との関連性に関する研究で、この遺伝子変異が引き起こす臨床像は典型的な網膜色素変性のみならず、黄斑変性をともなう網膜色素変性や黄斑変性のみの場合などもあることが明らかになり、この遺伝子異常がもたらす臨床像の多様性を示すことができた。またこの変異はカルシウム依存性タンパク質をコードしていることから、この遺伝子変異により網膜色素変性が発症する場合はカルシウムイオンが何らかの関与を果たしている可能性は否定できない。また第2の目的であるカルシウム拮抗剤の網膜色素変性への治療効果については、前年度行ったRCSラットにおけるニルバジピンの視細胞保護効果に引き続いて、別の網膜変性モデル動物であるrd (retinal degeneration)マウスに対してもRCSラットほどではないにしても若干の治療効果が認められた。rdマウスはcGMP phosphodiesteraseベータサブユニット遺伝子のホモ接合体での異常であるため、臨床的にみてrdマウス網膜変性は非常に重症型となることから、カルシウム拮抗剤の効果がRCSラットほど顕著ではなかったのは理にかなっている。しかしながら、実際のヒトでの網膜色素変性の治療には視細胞保護薬として効果がある可能性があり、将来の実用化へ向けて今後のさらなる研究の積み重ねが望まれる結果となった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Miyagawa, Y., et al.: "Aberrantly expressed recoverin is functionally associated with G-protein-coupled receptor kinases in cancer cell lines"Biochem Biophys Res Com. 300. 669-673 (2003)
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[Publications] Miyagawa, Y., et al.: "Von Hippel-Lindau disease type 2A in a family with a duplicated 21-base-pair in-frame insertion mutation in the VHL gene"Graefe's Arch Clin Exp Ophthalmol. 241. 241-244 (2003)
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[Publications] Sekiya K, et al.: "Long-term fundus changes of fundus albipunctatus associated with mutations of the RDH5 gene"Archives of Ophthalmology. 121(7). 1037-1039 (2003)
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[Publications] Yanagihashi S, et al.: "Autosomal dominant central areolar choroidal dystrophy and a novel Arg195Leu mutation in the peripherin/RDS gene"Archived of Ophthalmology. 121(10). 1458-1461 (2003)
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[Publications] Suzuki Y, et al.: "In vivo retinal vascular cannulation in rabbits"Graefe's Arch Clin Exp Ophthalmology. 241. 585-588 (2003)
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[Publications] Sato M, et al.: "Study of pharmacological effects of nilvadipine on RCS rat retinal degeneration by microarray analysis"Biochem Biophys Res Com. 306. 826-831 (2003)