2002 Fiscal Year Annual Research Report
網膜硝子体界面病変における硝子体コラーゲンの異常とtypeIIコラーゲンの遺伝子多型の検索
Project/Area Number |
14370554
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
岸 章治 群馬大学, 医学部, 教授 (30125843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 倫裕 群馬大学, 医学部, 助手 (70292612)
丸山 泰弘 群馬大学, 医学部, 講師 (60261848)
村上 正巳 群馬大学, 医学部, 教授 (30241871)
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Keywords | 硝子体 / ヒアルロン酸 / II型コラーゲン / II型プロコラーゲン / ELIZA |
Research Abstract |
硝子体は主にII型コラーゲンからなる骨格に高分子ヒアルロン酸が包まれ、ゲルを形成しているが、その代謝様式や再生の有無は不明である。我々は硝子体手術および術後の液空気置換時に硝子体サンプルを採取し、液性成分中のヒアルロン酸(HA)と、II型コラーゲンの前駆体でII型コラーゲン産生の指標となるII型プロコラーゲン-Cペプチド(CPII)の濃度をELISA法で測定した。また、硝子体手術前後にプリムスを用いて網膜電図を測定し、無硝子体状態での網膜の機能を検索した。現時点で以下の新知見を得ている。 1.糖尿病網膜症では、硝子体中のHA濃度とCPII濃度は正の相関があった(n=58,r=0.478,P<0.0005)。 2.女性糖尿病網膜症(26眼)の硝子体中HA濃度およびCPII度はともに年齢と負の相関があった。一方、男性糖尿病網膜症(32眼)の硝子体中HA濃度、CPII濃度は年齢と相関がなかった。 3.糖尿病網膜症(58眼)、黄斑円孔(38眼)、黄斑前膜(17眼)、裂孔原性網膜剥離(15眼)の硝子体中HA濃度およびCPII濃度はともに、裂孔原性網膜剥離<黄斑円孔<黄斑前膜<糖尿病網膜症と、硝子体の液化が強い疾患ほど低濃度である傾向があった。 4.硝子体液手術後に液空気置換を行った15眼(糖尿病網膜症11眼、黄斑円孔4眼)で、硝子体手術中に得たサンプル(V群)と液空気置換で得たサンプル(F群)を比較したところ、F群のHA濃度(18.1±3.18μg/mL)はV群(84.2±11.6μg/mL)よりも有意に低かった(P<0.001)。一方、CPII濃度はF群(4.84±0.35ng/mL)とV群(4.82±0.40ng/mL)に差はなく、CPIIは硝子体手術後も手術前と同レベルで存在することが判明した。これにより、硝子体II型コラーゲンは無水晶体眼でも産生されている可能性が示された。
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