2003 Fiscal Year Annual Research Report
網膜硝子体界面病変における硝子体コラーゲンの異常とtypeIIコラーゲンの遺伝子多型の検索
Project/Area Number |
14370554
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
岸 章治 群馬大学, 医学部, 教授 (30125843)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 倫裕 群馬大学, 医学部, 講師 (70292612)
丸山 泰弘 群馬大学, 医学部, 講師 (60261848)
村上 正巳 群馬大学, 医学部, 教授 (30241871)
|
Keywords | 硝子体 / ヒアルロン酸 / II型コラーゲン / II型プロコラーゲン / サイトカイン / VEGF / ELISA / 網膜電図 |
Research Abstract |
硝子体はコラーゲンの3次元構造に高分子ヒアルロン酸が絡みつき、ゲルの形態を保っている。硝子体は乳児では均質無構造なゲルから成るが、加齢とともにゲルの液化が生じる。硝子体コラーゲンの75%はII型コラーゲンから成る。一方、II型コラーゲンは関節にも多く分布する。軟骨細胞ではII型コラーゲンはプロコラーゲンとして産生され、分泌後C末端ペプチドが切断されてコラーゲンとなる。このため、整形外科領域では関節液中のC末端ペプチドの測定により、II型コラーゲンの産生量が調べられている。我々はこれを硝子体コラーゲン産生の指標として応用することを試みた。そして、硝子体手術中に採取した硝子体サンプル中のII型コラーゲンC末端ペプチドとヒアルロン酸の測定を行い、以下の知見を得た。 ELISAによる測定から、II型コラーゲンC末端ペプチドは硝子体中にも豊富に分泌されていることがわかった。さらに、この分子量をゲル濾過法で検索したところ、関節液中のものと同じ分子量(105kDa)であった。 糖尿病網膜症の硝子体サンプルの測定から、硝子体コラーゲンは女性では加齢とともに産生が減少している一方、男性では加齢による差はないことがわかった。高分子ヒアルロン酸はコラーゲンとともに硝子体の主要な成分であるが、その濃度もまた女性のみ加齢とともに減少していた。このことから、硝子体の加齢に伴う変化の様式には男女差があることが推測できた。黄斑円孔や黄斑前膜は60代に好発し、その3分の2が女性である。我々はこれまでの研究成果から、これらの疾患の発症に、硝子体の加齢に伴い生じる硝子体の液化やそれに伴う硝子体皮質の牽引が深く関与していることを実証してきた。今回の硝子体サンプルの検索結果から、高齢女性に多い黄斑円孔や黄斑前膜の発症機序における、硝子体コラーゲン産生量やヒアルロン酸濃度の加齢性変化の関与が示唆された。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 岸 章治: "硝子体の病態生理:硝子体と黄斑疾患"日本眼科学会雑誌. 10巻12号. 813-835 (2003)
-
[Publications] Kobayashi H, Kishi S: "Vitreous surgery for highly myopic eyes with foveal detachment and retinoschisis."Ophthalmology. 110(9). 1702-1707 (2003)
-
[Publications] Isono H, Kishi S, Kimura Y, Hagiwara N, Konishi N, Fujii H: "Observation of choroidal circulation using index of erythrocytic velocity."Arch Ophthalmol. 121(2). 225-231 (2003)
-
[Publications] Yamaguchi Y, Otani T, Kishi S: "Resolution of diabetic cystoid macular edema associated with spontaneous vitreofoveal separation."Am J Ophthalmol. 135(1):. 116-118 (2003)
-
[Publications] Sawai J, Nakazato Y, Yamane Y, Kimura N, Kishi S: "Immunohistochemical localization of human pineal tissue antigens in normal retina and retinoblastomas."Neuropathology. 23(2). 119-128 (2003)