2003 Fiscal Year Annual Research Report
眼組織におけるアンギオテンシンII受容体の生理的意義
Project/Area Number |
14370559
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大橋 裕一 愛媛大学, 医学部, 教授 (00116005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正嗣 愛媛大学, 医学部, 教授 (40150338)
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Keywords | アンジオテンシンII / 創傷治癒 / 角膜上皮 / 結膜 / 動物モデル / コラーゲン / TIMP / MMP |
Research Abstract |
アンジオテンシンII (AII)受容体は、組織リモデリングに深く関与していることがよく知られている。近年、眼組織にもAII受容体が存在することが報告されているが、その作用については明らかにされていない。そこで、マウス結膜下組織傷害モデルと角膜上皮傷害モデルを作成し、その治癒過程におけるAII受容体の主要サブタイプであるタイプ1a (AT1a)およびタイプ2 (AT2)受容体の役割について検討した。 1.結膜下組織障害についての検討 10週齢の雄性AT1a受容体遺伝子欠損マウス(AT1aKO)、AT2受容体遺伝子欠損マウス(AT2KO)、および野生型マウス(WT:C57BL/6J)を用いて、結膜をスパーテルで強膜より剥離することにより結膜下組織傷害モデルを作成した。処置後14日目の結膜下線維増生は、WTに比し、AT1aKOでは少なく、AT2KOでは増加していた。1型collagen mRNAは、いずれのマウスも7日目で最も増加しており、WTに比してAT1aKOでは少なく、AT2KOでは多かった。tissue inhibitor of metalloproteinase-1 (TIMP-1)の発現については、いずれのマウスも処置後12時間でもっとも高くなり、WTに比してAT2KOでは少なく、AT1aKOではさらに増加していた。以上の結果より、AT1a受容体刺激は結膜下組織の線維化を促進し、AT2受容体刺激はそれと拮抗して働く可能性が示された。 2.角膜上皮障害についての検討 昨年度はAT1aKOマウスではWTマウスに比べて角膜上皮の修復が遅延することを報告した。今年度はその機序について組織学的に検討した。その結果AT1aKOマウスはWTマウスに比べ角膜上皮細胞の細胞増殖が抑制されていることが確認された。 これらの結果よりAII受容体サブタイプは眼組織の創傷治癒およびリモデリングに深く関与している可能性が示された。
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