2003 Fiscal Year Annual Research Report
国産技術を用いた臨床応用可能な眼科遺伝子治療と染色体治療の開発
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14370560
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂本 泰二 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10235179)
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Keywords | 遺伝子治療 / ウイルスベクター / 網膜 / 網膜色素変性症 / 硝子体 / アデノウイルス / レンチウイルス |
Research Abstract |
昨年まで行ってきた遺伝子導入用のウイルスベクターの特徴を調べたところ、網膜変性疾患の治療にはアデノウイルスベクターよりも、遺伝子発現期間が長いレンチウイルスベクターの方が適当であると結論した。 そこで、本年度は主にレンチウイルスベクターについて研究を行った。まず、レンチウイルスベクターをラットやマウスに投与して発現期間を調べたところ、2年以上にわたって導入遺伝子の発現が網膜色素上皮細胞にみられた。さらに生直後のラット眼球に注射すると視細胞にも遺伝子導入が可能であった。また、網膜電位図や組織学的検索ではレンチウイルスベクター遺伝子導入による有毒な作用はみられなかった。そこで、網膜変性症治療のために網膜保護作用のある機能的因子を導入するためにpigment epithelium derived factor(PEDF)に注目してPEDF遺伝子を組み込んだウイルスベクターを製作した。これを網膜変性動物モデルであるRCSラットの眼球に注入して影響を見た。その結果、機能的、形態学的にもPEDF遺伝子を導入した網膜の変性が有意に軽度であった。このことはレンチウイルスベクターによる神経保護因子遺伝子導入治療は網膜変性疾患治療に効果がある事をしめすものである。そこで、臨床応用する前に、大形動物あるいはサル眼球に対する遺伝子導入の安全性を調べるために、サルの眼球にレンチウイルスベクターを注入して安全性ならびに遺伝子導入効率の評価研究を現在行っているところである。また、臨床的に安全な遺伝子導入手術を開発するためステロイドをもちいた遺伝子導入硝子体手術法の開発を進めている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ikeda Y, Goto Y, Yonemitsu Y, Miyazaki M, Sakamoto T et al.: "Simian immunodeficiency virus-based lentivirus vector for retinal gene transfer"Gene Therapy. 10・14. 1161-1169 (2003)
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[Publications] Miyazaki M, Ikeda Y, Yonemitsu Y, Goto Y, Sakamoto T, et al.: "Semian lentiviral vector-mediated retinal gene transfer of pigment epithellal-derived factor protects retinal degeneration and electrical defect in Royal Coollege of Surgeons rats."Gene Therapy. 10・17. 1501-1503 (2003)
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[Publications] Sonoda KH, Sassa Y, Qiao H, Tsutsumi C, Hisatomi T, Komiyama S, Kubota T, Sakamoto T, et al.: "Immunoregulatory role of ocular macrophages"J Immunol. 171・5. 2652-2659 (2003)
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[Publications] 坂本泰二: "硝子体の細胞反応:ヒアロサイトに付いて(総説)"日眼会誌. 107・12. 866-883 (2003)
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[Publications] Isashiki Y, Sonoda S, Sakamoto T: "Polygenetic assessment of the mitochondreal DNA displacemnt lool haprotype in Japanese patients with Lever's heredetary optic neuropathy harboring the mitochonrdial DNA G11778A mutation."Ophthalmic Res. 35. 224-231 (2003)
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[Publications] Enaida H, Torii H, Ishibashi T, Hata Y, Ueno A, Sakamoto T: "Cloquet's canal in triamcinolone-assisted vitrectomy"Arch Ophthalmol. in press.
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[Publications] 下村嘉一, 井上幸次, 谷原秀信, 坂本泰二: "眼科ベーシックポイント"メディカルビュー社. 331 (2004)