2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370597
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
姜 英男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50177755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 充 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50347770)
小林 真之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (00300830)
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Keywords | 三叉神経中脳路核ニューロン / 電位依存性K^+チャネル / 一次感覚ニューロン / 4-アミノピリジン / 咀嚼運動 / 筋紡錘 / 歯根膜 |
Research Abstract |
三叉神経中脳路核(MTN)一次感覚ニューロンは、他の一次感覚ニューロンに比して、より豊富なシナプス入力を受けており、これらのシナプス入力によってMTNニューロンに活動電位が発生し得る。しかし、細胞体へのシナプス入力によって生じるインパルス列パターンと、筋紡錘あるいは歯根膜機械受容器に由来する末梢枝からのインパルス列パターンの間に差異があるかどうかは明らかでない。細胞体膜上のK^+チャネルによってインパルス列パターンに違いが生じるとすれば、中枢枝がシナプス接続するニューロンに対し様々なインパクトを与える可能性がある。 生後6〜18日齢のラットから脳幹スライス標本を作成し、MTN一次感覚ニューロンからホールセル・パッチクランプ記録を行なった。細胞体へ脱分極性電流パルスを注入して発生させた活動電位(S-AP)と、細胞体から100〜200μm離れた位置で幹軸索を刺激し発生させた活動電位(A-AP)を比較した。 S-APの不応期はA-APのものより短かった。4-aminopyridine (4-AP)投与によって、S-AP、A-APの双方とも振幅および持続時間が増加した。このときA-APの不応期は延長したのに対し、S-APの不応期は短縮した。これらの結果から、S-APとA-APでは、活動電位の再分極に対する4-AP感受性K^+電流の関与が異なる可能性が示された。 細胞体膜の中央部からホールセル記録を行なうと、短い電流パルスによって生じるS-APは電気緊張性応答のピークからではなく、下降相から生じる。このことは、パッチ電極の位置と活動電位の発生部位が電気緊張的に離れていることを示している。この下降相から生じるS-AP発生の遅延は4-AP投与によって短縮した。対照的に、幹軸索の基部から記録を行なうと、遅延は非常に小さく、4-APによって変化しなかった。 また、免疫組織化学実験の結果から、MTNニューロンでは、4-AP非感受性のKv2.1が細胞体と幹軸索の双方に存在するのに対し、4-AP感受性のKv1.1とKv1.6は細胞体にのみ存在することが明らかとなった。 これらの結果から、MTNニューロンの細胞体および幹軸索における4-AP感受性K^+チャネルの分布は異なっており、S-APとA-APの形成に関与していることが明らかとなった。従って、細胞体へのシナプス入力によって生じたインパルス列は、末梢枝から上行してくるインパルス列と異なるパターンを持つことが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kang, Y. et al.: "Bidirectional interactions between h-channels and Na^+-K^+ pumps in mesencephalic trigeminal neurons"Journal of Neuroscience. (in press). (2004)
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[Publications] Kobayashi, M. et al.: "Reduced inhibition and increased output of layer II neurons in the medial entorhinal cortex in a model of temporal lobe epilepsy"Journal of Neuroscience. 23(24). 8471-8479 (2003)
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[Publications] Kobayashi, M. et al.: "Reduced inhibition of dentate granule cells in a model of temporal lobe epilepsy"Journal of Neuroscience. 23(6). 2440-2452 (2003)