2002 Fiscal Year Annual Research Report
Notchシグナルによる骨芽細胞の分化誘導とその臨床応用への展望
Project/Area Number |
14370615
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川島 伸之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60272605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 啓 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00302886)
梅澤 明弘 国立生育医療センター, 研究所・生殖医療研究部, 部長 (70213486)
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Keywords | 石灰化 / 骨芽細胞 / Notch / 分化 / オステオカルシン / ALPase / 幹細胞 |
Research Abstract |
骨粗鬆症における治療方法は、骨吸収の抑制にターゲットが向けられていた。しかし、骨形成が促進されないことには、根本的な治療は望めない。また、顎口腔領域の外科手術に伴って生じる骨欠損に、骨組織を誘導する、さらには骨組織を再建することは、長年のテーマであるが、骨形成を促進するシステムの開発なくしては実現不可能である。ところで、組織の再生において幹細胞(stem cell)を用いる、あるいはstem cell様の細胞を誘導することは必須であるが、stem cellにおいてはNotchの発現が認められており、Notchはstem cellの維持あるいは分化、機能に重要な働きを担っているものと思われる。これまでに、神経系、免疫系の細胞の分化においてNotchが関与しているとの報告は多数あるが、骨芽細胞の分化においてNotchが関与するとの報告はまだない。しかし、我々は骨芽細胞Kusa AにおいてNotchが発現していることを、RT-PCRおよびNorthern Blottingにて確認した。さらに、Notchのconstitutive active formである細胞内ドメイン(Notch Intra-Cellular Domain : NICD)をKusa Aに、transfectionしstable line(Kusa A NICD>を樹立した。Kusa A NICDにおいては、ALPase活性、オステオカルシン発現をはじめとする骨芽細胞のフエノタイプ発現は全般的に抑制されており、さらにin vivoおよびin vitroの石灰化能も大きく抑制されていた。以上より、骨芽細胞の機能をNotchは全般的に抑制しており、逆にNotchの機能を制御することにより骨芽細胞の石灰化をコントロールできる可能性が示唆された。
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