2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用有機材料に対する新規高感受性生物学的評価法の開発
Project/Area Number |
14370627
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
本郷 敏雄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (60142444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日景 盛 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (20134710)
安増 茂樹 上智大学, 理工学部, 助教授 (00222357)
喜多 和子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80302545)
春宮 覚 東京医科歯科大学, 歯学部, 教務職員 (50301792)
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Keywords | 歯科用レジン / 溶出 / ビスフェノールA / 細胞培養 / 遺伝子導入 / メダカ / 変異原性 / 生物学的試験法 |
Research Abstract |
本研究は歯科用有機材料由来の化学物質並び唾液に浸漬したそれら硬化体由来の化学物質を同定・定量する簡便な分析法の開発、エストロゲンレスポンシブエレメント(ERE)領域を含む遺伝子片に蛍光色素であるeGFP遺伝子(ERE-eGFP)をレトロウイルス発現ベクターで作成し、ヒト培養細胞に導入した新規エストロゲン(E)高感受性培養細胞検出系の開発、メダカにERE-eGFP遺伝子を導入することにより、E高感受性蛍光遺伝子を導入したメダカによる検出系の開発、ヒト培養細胞を用いて極微量の化学物質が有する変異原性を超高感度で検出するシステムの開発並びに代謝活性化酵素誘導検出系の開発と細胞内カルシウムとの相関性などを目的とした。その結果、唾液に1年間浸漬したポリカーボネート製矯正用ブラケットからビスフェノールA(BPA)、p-t-butylphenol、p-cumyphenolなどが溶出され、残留しているそれらも経時的に増加していたが、それらの量は製品により、異なっていた。更にレジン系仮封材硬化体から溶出したdibutylphthalateは唾液により加水分解され、そのモノ体に変化していたなど、簡便な分析法を開発した。E高感受性培養細胞検出系ではレトロウイルス発現ベクターを用いERE-GFPを遺伝子導入して安定に発現し続ける細胞を選別し、E検出を行ったところ約500pg/mlでGFP蛍光を示す細胞株が得られた。chg遺伝子5'上流域とGFP遺伝子の融合遺伝子をメダカ受精卵に注射し、遺伝子導入系統を作製したところ、遺伝子導入メダカはE曝露によって、肝臓でGFP発現を示し、更にEREを含む幾つかのcis-エレメントがchg遺伝子の転写調節に重要であることが示唆された。高感度変異原性検出システムの開発をめざし、RSa細胞を遺伝子改変しE receptor(ER)とストレスタンパク質GRP78を標的分子としたところ、ERを過剰発現した細胞のBPA変異誘導性は、アンチセンスcDNA導入によりGRP78を発現抑制した細胞におけるBPAの変異誘導性は、10^<-8>〜10^<-9>M濃度で検出され、GRP78発現抑制細胞を化学物質の変異原性を高感度に検出する細胞として使用できる可能性が示された。多環芳香族炭化水素(PAH)とBPAへの複合曝露が芳香族炭化水素受容体(AHR)シグナル伝達経路およびCYP1A1遺伝子の発現へ及ぼす影響を調べた結果、BPAはそれ単独ではCYP1A1遺伝子の発現をほとんど誘導しなかったが3-メチルコランスレンとの複合処理により、AHR/ARNT複合体を介して転写レベルでCYP1A1遺伝子の発現を誘導した。BPAによる相乗的なCYP1A1遺伝子の発現誘導には細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が関与することが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hongo, T. et al.: "Migration of bisphenol A from plastic bracket into human saliva"J. Dental Res. 82(SI). B-343 (2003)
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[Publications] Hikage, S., et al.: "Cytotoxicity of bisphenol A glycidyl dimethacrylate on cytochrome P450 producing cells"J Oral Rehabil. 30. 544-549 (2003)
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[Publications] Takahashi, S. et al.: "Increased levels of UV-induced protease activity in human UVAP-1 cells exposed to gravity-changing stress : involvement of E-64-sensitive proteases on suppression of UV mutagenicity"Cell Biol. Int.. 27. 53-60 (2003)
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[Publications] 喜多和子: "ヒト細胞のUV抵抗化における分子シャペロンGRP78の関与"日本放射線影響学会 第46回大会、講演要旨集. 91 (2003)
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[Publications] 上野哲郎: "遺伝子導入メダカを用いたコリオジェニン遺伝子の発現調節領域の解析"第74回日本動物学会. (2003)
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[Publications] Hikage, S., et al.: "Bisphenol A superinduces the human cytochrome P450 1A1 gene transcription through intracellular calcium accumulation"J. Dental Res. 82(SI). 294 (2003)