2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370628
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
早川 巌 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60014172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守澤 正幸 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40191019)
平野 滋三 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (10262205)
高橋 保樹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50334438)
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Keywords | 口蓋被覆 / 口腔感覚運動能力 / 咀嚼能力 |
Research Abstract |
義歯床による口蓋粘膜の被覆は,感覚刺激を遮断し,舌房を侵害することで口腔感覚運動能力と咀嚼運動を阻害すると考えられる.本年度は,実験用口蓋被覆床(PP)による口蓋粘膜の被覆が口腔感覚運動能力と咀嚼能力に与える障害について7日間にわたる経時的検討を行った. 正常有歯顎者20名を被験者とし,咀嚼能力の評価には咀嚼に伴う食品の粒度分布の変化を示す咀嚼効率(ME)を,口腔感覚運動能力の評価には口腔形態認識能(OSA)試験を用いた.MEの測定は篩分法を用い,ピーナッツ約3.0gを5,10,15,20,30回自由咀嚼させた.試行は各規定回数において3回行い,篩上に残った試料の重量値を咀嚼回数の指数関数へと回帰させ,指数関数的減衰を示す変数を算出しMEとした.OSA試験に用いた試料の形態は12種類とし,各形態につき3回の試行を行い,正誤についての合計点数をOSAスコアとした.これらの測定をPP未装着時に行い,ついでPP装着直後,装着3日後,7日後に繰り返した.2ヵ月後さらにOSA試験をPP未装着の状態で測定し,その3日後,7日後にPP未装着の状態で測定した.MEに関するPP装着の影響の解析には繰り返しの一元配置分散分析を行い,その後Bonferroniの方法による多重比較検定を行った.OSAスコアの解析には,ベースライン測定値と各測定時における測定値に対して,繰り返しの二元配置分散分析を行い,その後Bonferroniの方法による多重比較検定を行った.有意水準は0.05とした. MEはPP装着によって有意に低下し,その傾向は7日後にも有意に認められた.一方,OSAスコアは試験の繰り返しよって有意に上昇したが,PP装着による有意な変化は認められなかった. 以上からPPの装着によって咀嚼能力は影響を受けることが明らかとなり,咀嚼能力は特に舌の運動能力に障害が生じることによって低下することが示唆された.
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