Research Abstract |
Osseointegrationタイプの歯科インプラントは,非常に予知性の高い補綴方法である。インプラント埋入後,フィクスチャーと骨がオッセオインテグレーションを獲得するのに3〜6ヶ月かかり,その治癒期間の短縮(骨形成)が望まれている。骨の構造と外形は,加わる機械的刺激(メカニカルストレス)に応じて変化する。つまり,メカニカルストレスが骨に加わることにより骨形成が促進される。メカニカルストレスには,shear stress,静水圧,など様々あるが,今回我々はcompressing force(圧縮力)に注目した。マウス骨芽細胞株MC3T3-E1を6wellのdishにconfluentになるまで培養し,細胞に対して直接ガラスシリンダーで直接圧縮力を加え一定期間培養後,mRNAを抽出しRT-PCR法にて発現する遺伝子を調べた。今回targetにした遺伝子は,他のメカニカルストレスで発現上昇が報告されているCOX2,c-fos, egr-1,また骨芽細胞の細胞外マトリクスであるosteocalcin, osteonectin, osteopontin, collagen1 α 2とした。1g/cm^2,3g/cm^2,と圧縮力の大きさ依存的にc-fos, egr-1,COX2,の発現の増加が見られたが,細胞外マトリクス遺伝子の発現量には変化はみられなかった。また,5g/cm^2で,細胞の形態はダメージを受けていた。c-fos, egr-1,は細胞増殖に関与する遺伝子であり,COX2はプロスタグランジンの合成酵素であり力学刺激をシグナルとして伝達し,骨形成反応を誘導するうえで大変重要である。さらに圧縮力を一定にし,時間的経過を見たが,COX2の発現量は時間経過とともに増加する傾向にあった。今後,DNAマイクロアレイ法を用いて,圧縮力特異的に発現する遺伝子を特定していく予定である。
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