Research Abstract |
口腔癌センチネルリンパ節の検出・同定を目的とし,昨年度につづき,リンフォシンチグラフィおよびナビゲーション・サージェリーを施行した. 対象は,同意の得られた口腔扁平上皮癌患者9例で,原発部位は,下顎歯肉6例,舌,上顎歯肉,下唇各1例,T2〜4であった.所属リンパ節は,NO〜2で,8例に頸部郭清術,1例にリンパ節摘出術を施行した.手術前日に,腫瘍周囲の2〜4か所に99mTc標識フチン酸2mCiを注入.その1,2,3,4および20時間後にガンマカメラによる頭頸部リンフォシンチグラフィを施行.手術中にシングルプローブ・シンチレーション・カウンターによる所属リンパ節の走査,手術後に摘出手術材料から得られたリンパ節のRI取込量測定および病理組織学的検討を行った. 99mTc標識フチン酸の動態は,注入後1時間から所属リンパ節への集積を認め,注入後4時間から20時間においても,1時間後と同様であった.したがって,手術前日に99mTc標識フチン酸投与とリンフォシンチグラフィを施行することにより,センチネルリンパ節の検出は可能と考えられた.シングルプローブ・シンチレーション・カウンターによる走査では,全例において顎下,上深頸部のセンチネルと思われるリンパ節に反応を示した.手術材料から得られたリンパ節のRI取込量は,3例で測定を行い,センチネルと思われるリンパ節での取込量が,他のリンパ節の4倍以上を示した.病理組織学的検討では,6例はセンチネルを含む全リンパ節において転移は認められず,3例はセンチネルリンパ節のみの転移を認めた.そのうち1例は,郭清範囲の下流に後発転移を認めた. 以上,99mTc標識フチン酸を用いた口腔癌センチネルリンパ節の検討の結果,顎下,上深頸リンパ節がセンチネルであることが多く,センチネルリンパ節転移の有無が,より下流における転移の有無を反映している可能性が示唆された.
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