2003 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌に対するウイルスベクター・リポソーム複合体を用いた遺伝子治療
Project/Area Number |
14370667
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤内 祝 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50172127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00151803)
水野 正明 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70283439)
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Keywords | 単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子 / ガンシクロビル / 自殺遺伝子治療 / カチオニックリポソーム / アデノウイルスベクター / 口腔腫瘍 |
Research Abstract |
現在、様々なベクターが癌に対する遺伝子治療に用いられているが、より遺伝子導入効率が高く安全性に優れているベクターの開発が望まれる。アデノウイルスベクターは,様々な利点があるが免疫原生などの欠点もある。そこで、われわれは、カチオニックリポソーム包埋アデノウイルスベクターを作製し、ヒト口腔癌への基礎的研究を施行した。ウイルスベクターは、βガラクトシダーゼ遺伝子を含むAxCAlacZ、と単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子を含むAxCAHS-tkを用いた。カチオニックリポソームとしてTMAG, DOPE, DLPCの3種の脂質を用いたSUVを使用した。野生型3H/HeマウスにSCC-7細胞を移植後、コントロール群(非治療)、AxCHS-tk1回および3回感染群、AxCAHS-tk/SUV1回および3回感染群の5つの実験群を作製した。AxCAHS-tkおよびAxCAHS-tk/SUV感染1回につき10^6pfuのAdベクターを感染させ、さらに24時間後よりマウスに100mg/kgのGCVの腹腔内投与を4回施行した。なお、用いたAxCAHS-tk/SUVは10^6pfuのAdベクターと1μmolのSUVにて作製した。導入効率、抗腫瘍効果の比較検討を行った。AxCAlacZ/SUV複合体は、AxCAlacZ単独の遺伝子導入に比較して約5倍の遺伝子導入を示した。また、AxCAHSVtk/SUV複合体は、AxCAHSVtk単独に比較して有意な抗腫瘍効果を認めた。 これらのことより、カチオニックリポソーム包埋アデノウイルスベクターが、ヒト口腔扁平上皮癌に対する遺伝子導入に対して有効であり、さらにアデノウイルスベクターの反復投与による抗腫瘍効果を得られることが示唆された。
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