2003 Fiscal Year Annual Research Report
鎖骨頭蓋異形成症における歯の萌出遅延の原因解明を目的とした基礎的研究
Project/Area Number |
14370690
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
須田 直人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90302885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 紀美栄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90014216)
小守 壽文 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00252677)
|
Keywords | 歯 / 萌出 / 鎖骨頭蓋異形成症 / Runx2 |
Research Abstract |
1.ヒト鎖骨頭蓋異形成症(CCD)は、常染色体優性遺伝疾患であり、RUNX2/CBFA1遺伝子の変異を原因とすることが知られている。CCDは、鎖骨や頭蓋骨等の膜性骨の形成障害を主徴とするが、この遺伝子のmouse homologであるRunx2/Cbfalの遺伝子欠損マクスヘテロ接合子はCCDに良く似た骨組織異常がみられる。ところで、CCDでは多数歯にわたる過剰歯や埋伏歯・萌出遅延を伴う場合が多いが、その原因は不明である。そこで我々はヘテロ接合子における歯、歯周組織や歯の萌出過程を検討した。野生型マウスとヘテロ接合子を比較して、両者で歯数やセメント質・歯根膜などの歯周組織に差はなかった。上顎切歯・第一臼歯、下顎切歯の萌出時期は、野生型マウスと比べヘテロ接合子で有意に遅延した。上下顎第一臼歯の萌出路形成を担う破骨細胞数を比較した結果、萌出直前の生後10日目においてヘテロ接合子は野生型マウスと比べ有意に破骨細胞数が少なかった。以上の結果は、CCDにおける歯の萌出遅延の原因の一つとして、RUNX2/CBFA1のハプロ不全による破骨細胞動員の低下に起因した萌出路形成障害を示唆する。 2.歯の萌出プロセスは、萌出路形成と歯の垂直的移動という2つに分けられる。我々は、このうち前者に関して、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)やRANKLの重要性を明らかにした。また萌出中の歯とその歯周組織を用いてin vitroで破骨細胞形成・機能の評価が可能な新規実験系を開発した。 3.歯の萌出機構における歯根膜組織の重要性が指摘されているが、萌出途上歯と萌出完了歯の歯根膜組織の遺伝子発現をDNA microarrayで比較した。その結果、両者間で発現量が劇的に異なる遺伝子を明らかにした。このうち萌出完了歯に比較して萌出途上歯歯根膜組織においてCALBINDIN1遺伝子の著しい発現亢進がみられた。興味深いことに、この因子の発現は、実験的なラットの歯の移動モデルにおいても圧迫側歯根膜で特異的に亢進することが報告されている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Suda, N: "Development of a novel mouse osteoclast culture system using mandibular body and erupting teeth."Bone. 33・1. 38-45 (2003)
-
[Publications] Shibata, S: "Mandibular coronoid process in parathyroid hormone-related protein (PTHrP) deficient mice shows ectopic cartilage formation accompanied by abnormal bone modeling."Anat.Embryol.. 207・1. 35-44 (2003)
-
[Publications] 須田 直人: "膜性骨形成と歯の発生・萌出における副甲状ホルモン関連ペプチド(PTHrP)のはたらき"歯科基礎医師. 45・3. 103-112 (2003)
-
[Publications] Suzuki, T: "Osteoclastogenesis during mouse tooth germ development is mediated by receptor activator of NF K-B ligand (RANKL)."J.Bone Miner.Metab.. 印刷中.
-
[Publications] Takeshima, T: "Relation between formation and eruption of permanent mandibular buccal dentition and vertical height of the mandibular body."World Journal of Orthodontics. 印刷中.
-
[Publications] Yoda, S: "Delayed tooth eruption and suppressed osteoclast number in the eruption pathway of heterozygous Runx2/Cbfal knockout mice."Archs.Oral Biol.. 印刷中.