Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪木 拓男 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00225195)
西村 英紀 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80208222)
久保田 聡 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90221936)
明貝 文夫 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50263588)
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Research Abstract |
現代の医療の最前線では,疾患の病態から生体反応を制御する生体因子を標的とするサイトカイン療法,細胞治療,そして遺伝子治療が注目され,一定の成果を挙げている。しかし,歯周病治療においては,従来の歯周病細菌除去療法の域を脱していないのが現状である。こうした背景の中,本研究は局所遺伝子治療を応用して,積極的に生体反応を制御する新規歯周病治療の確立を目指すものである。 昨年度に引き続き抗菌作用を有するヒトβ-defensine-2(HBD-2)遺伝子をラット顎下腺に導入し,ラット口腔内の細菌数が減少する傾向がある結果を得た。しかし,結果が安定するためには,組織障害の少ない導入方法とアデノウィルス関連ベクター等の上皮細胞への導入効率がよい方法を検討する必要があることがわかった。これまでに,研究分担者が動物モデルで膝関節軟骨にアデノウィルス系ベクターを用いた導入効率を検討しているので,この方法を改良する方針にて研究を準備中である。ただし,生体への影響等を考慮する必要がある。 昨年度に引き続き抗菌作用を有するヒトβ-defensine-2(HBD-2)遺伝子をラット顎下腺に導入し,ラット口腔内の細菌数が減少する傾向がある結果を得た。しかし,結果が安定するためには,組織障害の少ない導入方法とアデノウィルス関連ベクター等の上皮細胞への導入効率がよい方法を検討する必要があることがわかった。これまでに,研究分担者が動物モデルで膝関節軟骨にアデノウィルス系ベクターを用いた導入効率を検討しているので,この方法を改良する方針にて研究を準備中である。ただし,生体への影響等を考慮する必要がある。 一方,バイオフィルムに対するHBD-2の効果も検討した。ヒト口腔内でバイオフィルムが成立した比較的初期に多い齲蝕原性細菌であるS.mutansを用いて,バイオフィルム形成前後でのHBD-2による殺菌程度を調べた。その結果,一度成立したバイオフィルム内の細菌には作用が及びにくいという結論を得た。このことから,HBD-2の使用時期やHBD-2を唾液腺に強発現させる際にバイオフィルムを物理的に破壊する等の操作が必要であることが考察できた。 さらに,組織再生のために生体因子を用いることも検討した。最初の段階として,組織再生時に発現する遺伝子をラット歯槽骨再生モデル上で整理した。他方で,線維芽細胞増殖因子の導入をタンパクおよび遺伝子レベルで行うために,多糖体をキャリアとするモデルをin vitroで作成した。この成果は,中国地方における産学官連携の場で発表した。
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