2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織再生におけるティシュエンジニアリングに関する基礎的研究―エナメル基質タンパク質と歯根膜細胞産生タンパク質の有効性―
Project/Area Number |
14370714
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
川瀬 俊夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (30084784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 秀幸 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60121026)
藤原 努 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (50084778)
出口 眞二 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (60121018)
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Keywords | 歯周組織再生 / エナメル基質タンパク質 / 歯根膜由来線維芽細胞 / ラット骨髄由来幹細胞 / 細胞接着因子 / ECMの遺伝子発現 / 細胞遊走活性 |
Research Abstract |
歯根膜の未分化な組織性幹細胞は歯槽骨側の骨髄から由来することが考えられることから、ラット骨髄由来細胞(RBMC)が骨系細胞に分化するのに、足場としてEMDが有効であるのか、また骨系細胞外基質タンパク質の発現と細胞の遊走活性を調べる事によってEMDの評価を試みた。さらにヒト歯根膜由来線維芽細胞(HPLF)の培養上清タンパク質(CMP)と比較検討した。 (1)RBMCの培養:7週齢のFisherラット(F344)の大腿骨より骨髄を採取、培養し、初代培養細胞を得た。本研究において、初代培養細胞あるいは継代1代目のRBMCを用いた。(2)細胞接着活性の測定および足場の作製:疎水性の培養器材に50μg/mlから0.39μg/mlの濃度のEMDあるいはCMPを添加した。非特異的な細胞接着を避けるために、80℃で15分間処理した5mg/mlBSAを60分間処理後、RBMCを播種し、3時間の培養を行った。培養後細胞の接着数はDNA量を測定した。足場は同様に実験系に合わせた疎水性の培養皿を用いて準備した。(3)ALPase活性と骨基質タンパク質のRT-PCR分析:EMDおよびCMPを20μg/mlの濃度で疎水性の培養皿にコーティングし、BSA処理後RBMCを播種し、3日間の培養を行った。p-NPPを基質としてALPase活性を測定した。一方、total RNAを抽出し、ALPase、BSP、OPN、およびOCNのプライマーを用いてRT-PCR法で増幅し、mRNAの発現を分析した。(4)細胞遊走活性の測定:EMDとCMPのRBMCに対する遊走活性をボイデンチェンバー変法によって測定した。 EMDを足場としたRBMCは骨系の分化マーカーのALPase活性およびmRNAの発現が上昇した。また、骨に特徴的な細胞外基質タンパク質のOPNおよびOCNの発現が上昇した。また、RBMCに対する遊走能を調べたところEMDにはその活性はまったく認められず、EMDあるいはCMPを足場としてHPLFを培養し、その培養上精(HPLF-CM)にはRBMCを引きつける遊走活性が認められた。 これらのことから、EMDとCPMに対するRBMCの応答は異なり、RBMCは足場としての細胞外基質タンパク質を認職していることが示唆された。RBMCはHPLFが産生する遊走因子によって誘導されることから、その後EMDは組織幹細胞の分化調節に関わっていることが評価された。
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Research Products
(1 results)