2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスベクターを用いたAβ分解酵素の遺伝子導入によるアルツハイマー病遺伝子治療
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14370762
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩田 修永 理化学研究所, 神経蛋白制御研究チーム, 副チームリーダー (70246213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 助手 (20311938)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβペプチド / ネプリライシン / アデノ随伴ウイルス / 遺伝子導入 / 遺伝子治療 / ウイルスベクター / 分解酵素 |
Research Abstract |
ネプリライシンはin vivoで脳内分解過程を解析する実験と遺伝子欠損マウスを用いた解析により明らかにされた主要Aβ分解酵素である.本研究では、ウイルスベクターを用いてマウス脳ヘネプリライシンの遺伝子導入を行い、直接的に脳内ネプリライシンレベルを高めることを行う.これにより脳内Aβレベルの低下が実証されれば、脳内ネプリライシンの発現を調節する薬剤の開発へ波及し、新たなアプローチによるADの予防・治療法の開発が始まるであろう. 本年度はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの調製と血清型の選択、脳内注入量および注入剖立の検討を行なった.ウイルスベクターをマウス歯状回に注入してネプリライシンの発現を免疫組織化学的に検討したところ、リコンビナントAAV(rAAV)2ベクターではネプリライシンの発現は注入部位近傍に現局するのに対し、rAAV5ベクターを用いた場合には海馬全体に広がって発現が認められた.このように、rAAV5ベクターにより単回注入で効率良くネプリライシンが発現することが明らかになったので、以降の実験はこの血清型5のベクターを使用した.次に、酵素活性を測定することにより機能的なネプリラシンの発現を確認した.ネプリライシン欠損マウスへのrAAV5-ネプリライシンの注入により1X10^9-8X10^9までベクター量依存的に酵素活性が上昇し、野生型マウスでは内在性のレベルよりもさらにネプリライシン活性が高まった.また、ベクター注入後少なくとも4週間まで直線的な酵素活性の上昇が観察された.一方、海馬、大脳皮質、嗅内皮質のいずれにrAAV5ベクターを注入してもネプリライシンの発現は、神経細胞のプレシナプス部位に認められ、アストロサイトには検出されなかった.現在、遺伝子導入後の海馬内Aβレベルの変化について検討している.
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Research Products
(11 results)
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[Publications] Takahashi et al.: "In Vivo Glioma Growth Requires Host-derived Matrix Metalloproteinase 2 for Maintenance of Angioarchitecture"Pharmacological. Res. 46(2). 155-163 (2002)
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[Publications] Iwata et al.: "Region-specific Reduction of Aβ-degrading Endopeptidase, Neprilysin, in Mouse Hippocampus upon Aging"J. Neurosci. Res.. 70(3). 493-500 (2002)
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[Publications] Tomioka et al.: "In Vivo Role of Caspases in Excitotoxic Neuronal Death: Generation and Analysis of Transgenic Mice Expressin Baculoviral Caspase Inhibitor, p35, in Postnatal Neurons"Mol. Brain Res.. 108(1-2). 18-32 (2002)
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[Publications] 岩田修永: "アルツハイマー病の基礎と臨床、2.成因に関する分子生物学的アプローチ"Geriatric Med.. 40(9). 1302-1304 (2002)
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[Publications] Fukami et al.: "Therapeutic strategies of Alzheimer s disease through manipulation of Aβ metabolism : a focus on Aβ-degrading peptidase, neprilysin"Drug Develop. Res.. 56(2). 171-183 (2002)
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[Publications] 高木淑江: "アネプリライシン活性制御によるアルツハイマー病の予防と治療の可能性"生体の科学. 53(5). 461-465 (2002)
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[Publications] Saito et al.: "Alzheimer s Disease, Neuropeptides, Neuropeptidase, and Amyloid-β Peptide Metabolism"SAGE KE (Science誌, on-line version). 2003/3/pel. (2003)
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[Publications] 岩田修永: "β-アミロイドペプチドの脳内分解システムの解明"生化学. 75(2). 97-107 (2003)
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[Publications] Iwata N., Saido TC.: "Mapping the progress of Alzheimer's and Parkinson's Disease (Mizuno Y., Fisher A., and Haninr, I. eds.)"Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York. 565 (2002)
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[Publications] 高木淑江: "老化研究の最前線(石川冬木編)"Springer-Verlag Tokyo. 164 (2002)
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[Publications] 岩田修永, 西道隆臣: "Annual Review 神経2003"中外医学杜. 366 (2003)