2003 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の核内レセプターを介する毒性発現機構の解析
Project/Area Number |
14370764
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西川 淳一 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (90218131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 不二雄 独立行政法人国立環境研究所, 環境ホルモンダイオキシン研究プロジェクトグループ, 主任研究員 (30113476)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / 環境ホルモン / 核内レセプター / 生殖毒性 / エストロゲン |
Research Abstract |
近年、産業用化学物質の環境汚染に起因する内分泌撹乱作用が問題となっている。これには、,性ホルモンのエストロゲンやアンドロゲンの受容体が関わっていることが知られているが、これら以外の核内受容体に関してはあまり注目されてこなかった。我々は、本研究課題で研究において、海産巻貝類の雌の雄性化現象(インポセックス)に核内受容体の一種であるRXR(Retinoid X Receptor)が関与することを見い出した。船底塗料や漁網防汚剤などとして使用されてきたトリブチルスズやトリフェニルスズなどの有機スズ化合物は、低濃度の暴露で雌の巻貝に生殖輸管系(ペニス及び輸精管)を異形成させることが知られているが、その詳細な機構は不明のままである。我々は、各種核内受容体に対する有機スズ化合物の影響を調べる過程で、有機ズズ化合物がRXRに高親和性で結合することを発見した。そこで、海産巻貝類の一種であるイボニシからRXRホモログのクローニングを試みた結果、前鰓類のイボニシにもRXRに似た遺伝子が存在した。有機スズ化合物はイボニシ由来のRXRに結合し、哺乳類RXRの内因性リガンドとして知られている9-cis retinoic acidもイボニシRXRに結合した。また、9-cis retinoic acidを雌のイボニシに筋肉注射したところインポセックスが出現した。これまで、有機スズ化合物以外で雌のイボニシにペニス伸長を引き起こす物質は知られておらず、9-cis retinoic acidは初めて確認された有機スズ以外のインポセックス増進作用を持つ物質である。また、これらの結果は海産巻貝類において、雄性生殖器の分化にRXRが関与していることを示唆している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kanayama, T. et al.: "Basis of a high-throughput method for nuclear receptor ligands"Journal of Biochemistry. Vol.133. 791-797 (2003)
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[Publications] Mikamo, E. et al.: "Endocrine disruptors induce cytochrome P450 by affecting transcriptional regulation via pregnane X receptor"Toxicology and Applied Pharmacology. Vol.193. 66-72 (2003)
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[Publications] Nishikawa, J. et al.: "Effect of suspected endocrine disruptors on various kinds of nuclear hormone receptors"Journal of Environmental Biotechnology. Vol.3. 37-42 (2003)
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[Publications] Shiraishi, F. et al.: "Estrogenic and thyroid hormone activity of a series of hydroxy-polychlorinated biphenyls"Chemosphere. Vol.52. 33-42 (2003)
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[Publications] Mikamo, E. et al.: "Methoxychlor induces CYP2C11 to convert itself into hormonally active metabolites"Journal of Health Science. Vol.49. 229-232 (2003)
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[Publications] Kawamura, Y. et al.: "Estrogenic activities of UV stabilizers used in food contact plastics and benzophenone derivatives tested by the Yeast two-hybrid assay"Journal of Health Science. Vol.49. 205-212 (2003)