2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝第一相および第二相酵素の機能的相互作用に関する検証
Project/Area Number |
14370765
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 英之 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40142351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 祐次 九州大学, 薬学研究院, 助教授 (90253468)
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Keywords | 機能的相互作用 / cytochrome P450 / UDP-glucuronosyltransferase / モルヒネ |
Research Abstract |
薬物代謝第一相酵素と第二相酵素の機能的連携を明らかにする目的で研究を行った。COS-1細胞に発現させたUDP-glucuronosyltransferase(UGT)2B7のモルヒネ代謝能(3-グルクロニド生成活性)の変動を指標にして検討した結果、UGT2B7の機能がcytochrome P450(CYP)3A4の共発現により約1/10に低下することを見いだした。CYP2C9およびCYP1A6をUGT2B7と共発現させた場合には、UGT2B7のモルヒネ代謝能力は顕著には変動しないことが確認され、UGT2B7-CYPの機能的相互作用にはCYPの分子種特性があることが判明した。 UGT2B7とCYP3A4の間に親和性があるか否かは、免疫沈降法により、両タンパク質の親和性について検討した。ヒト肝ミクロゾームを可溶化し、抗UGT抗体によって沈降させた沈殿物中にCYP3Aが共沈するか否かを検討した。その結果、予想通り沈降物中にCYP3A4が存在することをイムノブロット法により確認した。また、UGT2B7とCYP3A4の結合は、glutathione S-transferaseを結合させたCYP3A4融合タンパク質を検出用プローブとしたオーバーレイアッセイ法によっても確認された。 UGT2B7はモルヒネの不活性化(3-グルクロニド生成)と共に活性化(6-グルクロニド生成)をも触媒する。CYP3A4とのタンパク質間相互作用がUGT2B7のこれら2つの機能にどのように影響するかは興味のある点であった。そこで、UGT2B7発現ミクロゾームに精製CYP3A4を添加して3-および6-グルクロニド生成への影響を観察した。その結果、3-グルクロニド生成活性は、上記のCOS細胞発現系の結果と符合して、CYP3A4添加によって抑制された。しかし、6-グルクロニド生成反応は逆にCYP3A4の共存によって活性化された。従って、CYP3A4はUGT2B7の機能を制御し、活性化/不活性化の比率を増大させ、麻薬効果を増強する作用を有することが強く示唆された。UGTとP450の機能的連携は、ラット肝ミクロゾームによるベンツピレンのグルクロン酸抱合を指標とした実験からも示唆された。 本研究によって、UGT機能がCYPによって制御されることが初めて明らかにされ、薬物代謝の変動をもたらす新たな概念が実証された。
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