2002 Fiscal Year Annual Research Report
外因性神経細胞変性モデルとしてのメチル水銀による神経細胞特異的変性機構の解析
Project/Area Number |
14370766
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
国本 学 北里大学, 薬学部, 教授 (20142101)
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Keywords | メチル水銀 / 神経細胞死 / カルパイン / cdk5 / p35 / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
メチル水銀によって引き起こされる小脳神経細胞の変性について、その機構を分子レベルで解析し、水俣病発症機構のみならず、様々の外因によって引き起こされる選択的神経細胞変性の機構解明にも貢献することを目的として、特にアルツハイマー病における神経変性過程への関与が示唆されているcalpain、p35、cdk5カスケードに着目して以下の検討を行った。 メチル水銀による小脳神経細胞変性過程に対するcalpain阻害剤及びcdk5阻害剤の影響の解析 これまでに、メチル水銀の標的部位の一つである小脳の初代培養系において、ごく低濃度(10-30nM)のメチル水銀による神経細胞変性が曝露48-72時間目に不可逆的なものへと決定される試験系を確立している。この、メチル水銀曝露によって誘導される小脳初代培養細胞死に対するcalpain阻害剤(calpain inhibitor II)およびcdk5阻害剤(butyrolactone I)の影響について調べた結果、その神経細胞死をcalpain inhibitor IIおよびbutyrolactone Iが抑制することが明らかになった。 メチル水銀による小脳神経細胞変性過程におけるcalpain活性の変化の解析 メチル水銀暴露によるラット小脳神経細胞変性の初期過程において、calpainの基質である440 kD ankyrin_Bが分解されていた。さらに、神経細胞にのみ発現するcdk5の活性化タンパク質であるp35のp25への断片化が観察され、同時にFluo-3をプローブとした解析から細胞内カルシウム濃度が増加していることも明らかとなった。 以上の結果から、メチル水銀による神経細胞死にもcalpain/cdk5/p35カスケードが関与している可能性が強く示唆された。
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