2003 Fiscal Year Annual Research Report
急性期病院群からの医療事故報告システムの構築と集積データによる原因分析
Project/Area Number |
14370773
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大道 久 日本大学, 医学部, 教授 (60158805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺崎 仁 日本大学, 医学部, 講師 (90227512)
今中 雄一 京都大学, 医学研究科, 教授 (10256919)
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Keywords | 医療事故 / 患者安全 / 情報管理者 / 匿名性 / リスクマネージャ |
Research Abstract |
本研究は、わが国の病院認定機関である日本医療機能評価機構によって認定された複数の病院に協力を求め、医療事故および警鐘的・教訓的事例に関する情報の提供を受け、集積された事例について原因を分析して有効な防止策を検討し、その経験を病院間で共有することにより患者安全の推進を図ることを目的としている.今年度は、対象病院を約500病院と拡大し、緊急性の高い医療安全上の課題について、対象病院における現況の調査、調査結果を踏まえた重点的検討事項の設定、具体的な課題または重点的検討事項に関して経験された医療事故または警鐘的・教訓的事例に関する情報提供の依頼、集積された情報に基づいた事故原因の分析とその防止策について検討し、得られた成果を対象病院に還元するという手順で研究を進めた。 具体的な課題としては、投薬(与薬)プロセスにおける事故、IT・情報機器使用に伴う事故、処置・チューブトラブルに関連した事故をとりあげ、対象病院から本年度分として合計240の医療事故または警鐘的・教訓的事例が提供された。これらの中から、各課題それぞれ20〜30事例を抽出し、その原因と背景、事故防止策などの視点から検討を加えて取りまとめた。これらの成果は、定期的に事例検討報告書である「患者安全推進ジャーナル」として取りまとめ、これまでに3巻が対象病院に還元されている。医療事故に関連した情報を院外に提供することは、守秘の観点と法的証拠能力としての扱いが不明であることから病院としては慎重にならざるを得ないが、対象病院からの情報提供は積極的であり、医療事故報道が続く中で患者安全の推進に向けた関心と意欲は高いといえる。複数の病院から医療事故に関する情報提供を受け、その経験を共有することは医療安全の推進に有効であり、次年度も情報の匿名性とセキュリティに十分に配慮して収集活動を経続する。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 大道 久: "医療における安全管理-病院医療における患者安全の推進-"電子情報通信学会技術研究報告. 102巻740号. 13-16 (2003)
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[Publications] 大道 久: "日本医療機能評価機構における患者安全推進の取り組み"医学のあゆみ. 205巻8号. 525-527 (2003)
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[Publications] 大道 久: "病院管理からみた患者安全"病院. 62巻6号. 445-445 (2003)
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[Publications] 遠矢雅史, 大道 久: "認定病院における医療事故関連情報の共有による患者安全の推進"病院. 62巻6号. 465-469 (2003)
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[Publications] 大道 久, 寺崎 仁, 今中雄一, 他: "認定病院患者安全推進協議会における医療事故情報の共有"第41回日本病院管理学会学術総会演題抄録集. 40巻Suppl.. 145-145 (2003)
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[Publications] 遠矢雅史, 大道 久, 他: "投薬(与薬)事故防止に関する活動報告〜認定病院患者安全推進協議会の活動より〜"第41回日本病院管理学会学術総会演題抄録集. 40巻Suppl.. 154-154 (2003)
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[Publications] 大道 久, 他: "患者安全推進ジャーナル<研究編vol.2>"日本医療機能評価機構. 116 (2003)
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[Publications] 大道 久, 他: "患者安全推進ジャーナル<vol.3>"日本医療機能評価機構. 105 (2003)
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[Publications] 大道 久, 他: "患者安全推進ジャーナル<vol.4>"日本医療機能評価機構. 93 (2003)