2002 Fiscal Year Annual Research Report
最も頻度の高いヒト胚細胞性染色体転座t(11;22)の発生メカニズムに関する研究
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14370775
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉橋 浩樹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30243215)
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Keywords | 染色体転座 / t(11;22) / t(17;22) / 神経線維腫症1型 / 転座切断点 / 回文配列 / AT rich / PATRR |
Research Abstract |
本研究代表者は胚細胞性染色体転座t(11;22)の転座切断点を解析し、11番染色体側、22番染色体側ともにpalindromic AT rich repeat(PATRR)が存在することを示した。この配列が十字架型の立体構造をとり、そのゲノム不安定性がこの反復性の染色体転座の発生に関与していると推定している。本年度の研究では、染色体転座t(17;22)にて発症している神経線維腫症1型の2例の転座切断点を解析した。FISH解析にて、22番染色体側切断点は、t(11;22)の切断点に存在するPATRRの位置と一致した。17番染色体側切断点は、神経線維腫症1型の原因遺伝子であるNF1遺伝子内にあると考えられる。NF1遺伝子のゲノム塩基配列を詳細に解析すると、イントロン31に同様のPATRRが存在することが判明し、切断点がこれらのPATRR内にあることを転座特異的PCRにて証明した。以上の研究により、ATRRによるゲノム不安定性がこれらの染色体転座の発生に関与しているという説を確実なものとした。引き続き、この仮説を証明するために、PATRRの立体構造の解析を行っている。一般的にはPATRR配列はクローン化不能であり、PATRRの生体内動態の研究の大きな障害となっている。健常人で11番染色体側のPATRR(445bp)を検討すると、まれな短い多型(204bp)が存在した。この短いPATRRは回文構造が不完全なのでクローン化することに成功した。t(11;22)の転座保因者の解析を行い、この短いPATRR由来の転座と考えられる症例も発見した。短いPATRRは長いPATRRと類似の生体内動態をとると推定され、このクローンを用いてPATRRの立体構造を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kurahashi H, Shaikh TH, Takata M, Toda T, Emanuel BS: "The constitutional t(17;22) : another translocation mediated by palindromic AT rich repeats"Am J Hum Genet. 72・3. 733-738 (2003)