2002 Fiscal Year Annual Research Report
時計遺伝子に着目したガンの時間治療法に関する基礎研究
Project/Area Number |
14370784
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樋口 駿 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (40218699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大戸 茂弘 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (00223884)
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Keywords | 時計遺伝子 / 時間治療 / 生体リズムマーカー |
Research Abstract |
本研究では、明暗周期(明期7:00-19:00)条件下で9:00-17:00の間のみエサを与え、マウスの体温や種々のホルモン分泌などの日周リズムに関し周期性を保ったまま、位相(日周リズムのpeak及びtrough時刻)を変容させる時間制限摂食マウスモデルを利用した。また、自由摂食マウスモデルにおいて、塩酸イリノテカン(CPT-11)の毒性が5:00に重篤、17:00に軽度となったため、投薬時刻を5:00及び17:00とした。 ・時間制限摂食マウスモデルを対象としたCPT-11の副作用に及ぼす投薬タイミングの影響及び副作用発現規定因子の探索 体重減少及び白血球減少は、17:00投薬群と比較し5:00投薬群で有意に軽減できることが明らかとなった。自由摂食マウスモデルと比較し時間制限摂食マウスモデルでは、約12時間毒性発現の位相のシフトが確認され、両モデルとも副作用がマウスの活動期において重篤となることで一致していた。本研究より、生活環境の変化に伴いCPT-11の時間毒性は変容し、これらの変容に伴い日周リズムがシフトする因子がCPT-11の毒性発現規定因子となる可能性が考えられる。 規定因子の探索を目的に薬物動態学的側面より検討を加えた。血中CPT-11, SN-38(主活性代謝物)濃度は、投薬時刻の違いによる有意な差異が認められなかった。また、肝組織・血液中carboxylesterase(CPT-11をSN-38に代謝する酵素)活性も有意な日内変動は認められなかった。本研究より、CPT-11の時間毒性に寄与する因子としてCPT-11及びSN-38の薬物体内動態は関与しないことが示唆された。 現在、CPT-11の時間毒性発現規定因子として、標的酵素のtopoisomerase I、骨髄中DNA合成能、副作用が現れる骨髄・腸粘膜中の時計遺伝子群などの日周リズムに着目し検討している。
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[Publications] Takanori Akagi, et al.: "Cell kinetics-dependent antitumor effect of irinotecan hydrochloride induced by the synchronizing effect of hydroxyurea : cell kinetics and dosing time"Life Sciences. 72. 1183-1197 (2003)
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[Publications] Hideto To, et al.: "Dosing-time dependency of adriamycin-induced cardiotoxicity and bone marrow toxicity in rats"Journal of Pharmacy and Pharmacology. In press). (2003)