2003 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制薬の中枢毒性:発現機序解明とこれを基盤とした副作用関連遺伝子の探索
Project/Area Number |
14370789
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
片岡 泰文 福岡大学, 薬学部, 教授 (70136513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 正美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20136641)
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 助手 (90341453)
高橋 三津雄 福岡大学, 薬学部, 教授 (70299543)
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Keywords | 免疫抑制薬 / シクロスポリン / タクロリムス / 中枢毒性 / 血液脳関門 / 時間治療 / ペリサイト / TGF-β |
Research Abstract |
シクロスポリン(CsA)およびタクロリムス(TCL)は、移植医療に不可欠な免疫抑制薬である。本研究では、これら薬物の中枢毒性回避法の設計に着手するために、その発現機序を解明し、易発症因子とその関連遺伝子を明らかにすることを計画した。初年度の成果は、NO産生上昇やGABA神経伝達低下を誘発し易い病態やP-糖蛋白質(P-gp)遺伝子の変異を有する患者は、中枢毒性発現の危険性が高いことを示唆するものであった。これを基盤として展開した本年度研究の成果は以下のとおりである。 (1)血液脳関門(BBB)は脳血管内皮細胞、アストロサイト、ペリサイトにより構成される。共培養in vitro BBBモデルを作成し、ペリサイトが血管内皮細胞透過性を低下させP-gp機能を促進することにより、BBB機能を強化することを見出した。この分子機構としてペリサイトのTGF-β産生の関与が明らかになり、CsAがTGF-β産生を阻害し、BBB機能を低下させることが判った(in press)。 (2)本申請者が確立したin vitro BBBモデルの有用性を検証するために抗プリオン病治療候補薬キナクリンの作用を調べ、本薬物の脳移行性が極めて低いこと、またBBB輸送機構として有機カチオントランスポーター(取り込み)とP-gp(排出)が関与することが示唆された(Cell.Mol.Neurobiol.24(2):205-217,2004)。 (3)時間治療学的方法によるTCLの副作用低減化の可能性を検証するため基礎実験を行った。振戦時間を指標とした中枢毒性は、効果を減弱することなくラット暗期投与で軽減した(in press)。 以上、薬物の脳移行性の検定に有用なin vitro BBBモデルを確立し、免疫抑制薬の中枢毒性発現にTGF-β産生阻害が重要との知見を得た。また、その回避法として時間治療導入の有用性が示唆された。
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[Publications] Shinya Dohgu et al.: "Uptake and efflux of quinacrine, a candidate for the treatment of prion diseases, at the blood-brain barrier."Cellular and Molecular Neurobiology. 24(2). 205-217 (2004)
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[Publications] Shinya Dohgu et al.: "Transforming growth factor-β1 upregulates the tight junction and p-glycoprotein of brain microvascular endothelial cells."Cellular and Molecular Neurobiology. (in press).
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[Publications] Atsushi Yamauchi et al.: "Tacrolimus-induced neurotoxicity and nephrotoxicity is ameliorated by administration in the dark phase in rats."Cellular and Molecular Neurobiology. (in press).