2002 Fiscal Year Annual Research Report
運動誘発適応の分子生物学的解析が可能な作業測定法開発とそれによる基礎知見
Project/Area Number |
14380021
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
進藤 宗洋 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (30078539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 耕路 九州大学, 農学部, 教授 (60158186)
黒岩 中 福岡大学, 医学部, 助教授 (30122691)
菊地 昌弘 福岡大学, 医学部, 教授 (80078774)
庄野 菜穂子 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (60223674)
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Keywords | 血流遮断閾値 / 静的筋収縮 / 膝伸展運動 / 脚伸展運動 / 筋線維組成 / 最大持続時間 |
Research Abstract |
実験1として,静的筋収縮時における血流遮断閾値(以下,BFIT)の同定実験を,膝伸展運動と脚伸展運動において実施した。その結果,両運動とも、発揮張力と近赤外線分光法によって求めた大腿外側広筋部運動時血流量との関係から,BFITが確認できた。そして,1.BFITの絶対値は勿論、最大随意筋力に対する相対値(以下,BFIT@%MVC)も個人間で大きく異なること,2.同一個人において,運動様式の違いでBFITに相当する発揮張力には大きな差があること,3.脚伸展運動における左右脚のBFITにも差があることが明らかになった。以上は、自転車エルゴメーター運動には,脚伸展運動におけるBFITを用い,個人内の左右差についても考慮した運動処方の作成の必要性を示唆している。BFIT@%MVCは、大腿部外側広筋の筋生検の結果から得られた筋線維タイプIIaとIIbのいずれとも一本あたり横断面積との間に有意な正相関関係が認められ、両者の因果関係が示唆された。次に実験2として,Monodら(1965年)によって報告されている,筋群の大小に関係なく静的筋収縮での発揮筋張力別最大持続時間がある発揮筋張力以下になると指数関数的に延伸するというエネルギー供給過程関連の関係に着目し,この最大運動持続時間が急増するポイントを最大運動持続時間閾値とし,BFITとの関係を検討した。その結果は,両者の間に有意な正相関関係を認めた。以上の知見からBFIT@%MVCは動員する運動時エネルギー供給過程あるいは筋線維タイプを選択する。すなわち、BFIT@%MVCは細胞レベルあるいは分子生物学的レベルの運動誘発性急性適応能力の運動刺激要因である可能性が示唆された。第2年度は、BFIT@%MVCが細胞レベルあるいは分子生物学的レベルでの運動誘発性慢性適応能力の刺激要因であることの可能性について検討する計画である。
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