2002 Fiscal Year Annual Research Report
東北日本中央部の河川流域における環境変化と土砂移動量変動に関する研究
Project/Area Number |
14380029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 秀明 東北大学, 理学研究科, 助教授 (30173909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 俊和 立正大学, 地球環境科学部, 教授 (00087149)
大月 義徳 東北大学, 理学研究科, 助手 (00272013)
平野 信一 東北大学, 理学研究科, 助教授 (10228801)
小岩 直人 弘前大学, 教育学部, 助教授 (70296002)
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Keywords | 自然地理学 / 地形学 / 東北日本 / 土砂移動 / 斜面地形 / 沖積低地 / 河岸段丘 / 河成地形 |
Research Abstract |
本研究の目的は,現在に近い過去の自然状態において,河川中・上流域ではどれだけの土砂が削剥・生産され,相対的下流域にはどれだけの量の土砂が運搬され,また海浜を含めた河川下流部にはどれだけの量の土砂が散布されつつあるのかを示すことにある。 河川下流部については,宮城県七北田川下流部に注目し,地形調査を行うとともに,放射性炭素年代試料の採取および年代測定を行った。とくに潟湖埋積過程把握において不可欠な完新世後期の海面微変動を復元するための年代試料を,考古学分野の研究者と協力して採取した。これらにより河川最下流部において,河川運搬土砂による潟湖の埋積と海面変動との時期的な関連について検討するための資料を得た。また,同地区に位置する活断層の最終活動時期を特定するために,地下堆積物を簡易ボーリングにより採取し,年代の特定を行った。これらの仕事と関連させ,同地域においてこれまで関係諸機関で行われてきた土質調査時の柱状図を,多方面で使用可能なデータベースとして整理した。一方,我が国でも最大級の海岸砂丘である庄内砂丘において,完新世中期〜後期における砂丘砂層堆積量の算定のための地下地質調査および年代測定を行い,砂丘砂量の算定に必要な砂丘砂層下限深度についての情報を得た。 河川上流部として位置づけられる山地斜面での崩壊の発生要因および時期を特定するため,自然斜面および降雨実験装置による観測結果を比較し,降雨-流出過程と土層の透水性の関係についてのデータを得るとともに,過去の降雨による崩壊発生位置について再検討を行った。同時に,斜面崩壊発生と地表を被覆する植生との関連について,基礎的なデータを得るため,花崗岩分布地域において種々の土質特性についての調査を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 松本 秀明: "縄文時代前期以降の海水準微変動と地表環境の変化-浜堤列,河川跡の形成などから想定される低湿地の拡大・縮小に関連して-"第10回 東日本の水田跡を考える会報告要旨集. 10. 67-70 (2002)
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[Publications] 水本匡起, 平野信一: "長井盆地・米沢盆地西縁断層における完新世の断層活動と変位地形(要旨)"季刊地理学. 55・1(印刷中). (2003)
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[Publications] 大月義徳: "津軽平野東縁部における鮮新世以降の地殻変動過程(要旨)"季刊地理学. 55・1(印刷中). (2003)
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[Publications] 古田智弘, 田村俊和, 森脇 寛: "斜面での降雨-流出過程と土層の透水性の関係について-降雨装置下での実験と自然斜面での観測-"東北地域災害科学研究. 39(印刷中). (2003)
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[Publications] 小岩直人, 古田智弘, 田村俊和: "北上山地北縁地域における表層崩壊の発生位置-1999年10月豪雨の事例-(要旨)"季刊地理学. 55・1(印刷中). (2003)
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[Publications] 田村俊和: "異なる時間スケールでみた河川の地形変化-東北地方の河川地形形成史-"河川レビュー. 31(通巻120号). 6-11 (2002)