2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14380169
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
福島 邦彦 東京工科大学, メディア学部, 教授 (90218909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 眞之 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 講師 (20291437)
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Keywords | 視覚情報処理 / 神経回路モデル / 動き抽出 / optic flow / MT,MST野 / 回転,拡大・縮小 / 図地分離 / 輪郭統合 |
Research Abstract |
視覚神経系のMST野には,視野の広い範囲に呈示された運動パターンの回転,拡大・縮小など,特定のoptic flowに選択的に反応し,その反応が運動の中心位置に影響されない細胞がある.optic flow抽出機構を説明する仮説には二つの流れがある.方向モザイク仮説とベクトル場仮説である.前者では,位置不変な反応を得るために脳のモデルとしては少し不自然な仮定を置いていた.後者では,脳はベクトル解析で用いられるrotやdivなどの演算を用いていると考える.このような演算によってoptic flowが求まることは,数学的には古くから指摘されていたが,神経回路モデルの提唱はほとんどなかった. そこで生物学的にも妥当な神経回路モデルをベクトル場仮説に基づいて構成した.網膜,V1野,MT野,MST野などに対応する細胞層を階層的に接続した回路である.V1細胞は局所的な運動速度を抽出し,MT細胞は隣接する2点の相対速度(速度勾配)を抽出する.MST細胞は,MT細胞の出力を統合して,視野全体の回転や拡大縮小などの大局的な動きを抽出する.この考え方を用いれば,MT細胞の受容野の興奮性領域と抑制性領域との相対的位置関係を変えるだけで,同じ構造の回路で,回転や拡大・縮小などを抽出できる. また,運動ドットペアを空間的に近接配置させたLPD刺激を用いた心理実験を行なった.LPD刺激に対する局所運動統合が生じてから,それらの結果同士が大域的に統合されるという2段階の運動統合過程の存在が明らかになった. 輪郭統合と図地分離との関係を調べる心理実験も実施した.共線的に配置された線分群に対してownership(図の方向)を同一側に付与した場合は輪郭統合が容易なのに対して,ownershipを互い違いに付与する場合は輪郭統合が困難となった.この結果は図地分離から輪郭統合へのトップダウン情報の流れの存在を示唆する.
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Research Products
(5 results)