2004 Fiscal Year Annual Research Report
V-系低放射化材料における水素同位体の吸収・放出過程
Project/Area Number |
14380218
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
渡辺 国昭 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 教授 (50001326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波田野 雄治 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 助教授 (80218487)
原 正憲 富山大学, 水素同位体科学研究センター, 助手 (00334714)
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Keywords | 核融合炉 / 低放射化材料 / バナジウム合金 / 水素同位体 / ブランケット / チタン / 表面 / 透過障壁 |
Research Abstract |
V合金は核融合炉の低放射化を図るために有望な材料であるが、水素同位体の透過速度が大きいという欠点もある。この種の合金と水素同位体の相互作用に関する報告例はこれまでにもあるが、水素同位体の吸収・放出が表面状態に敏感であるためデータのばらつきが大きい。昨年度までに、熱処理条件が異なるV-4%Cr-4%Ti合金試料について軽水素の吸収実験を行い、高温での熱処理により水素の表面反応速度が著しく低下することを見出した。本年度はV-4%Cr-4%Ti合金について表面分析を行うと共に、重水素の吸収実験を行い、化学的表面状態に及ぼす熱処理の影響と表面反応速度の同位体依存性を調べた。 高純度V-4%Cr-4%Ti合金板材(核融合科学研究所提供)より切り出した試料の表面を研磨したのち、超高真空装置内に導入した。573〜1273Kの各温度に10分間加熱し、表面状態の変化をX線光電子分光法により調べた。Tiの表面濃度は温度と共に増大し、1273KではTiとVの濃度比が0.44に達した。これは、バルク中の値の10倍に相当し、熱処理によりTiが表面偏析することが明らかとなった。一方、Crについては顕著な再分布は見られなかった。熱処理条件が異なる試料について重水素吸収実験を行ったところ、軽水素の場合と同様に、加熱処理により表面反応速度が2〜3桁減少し、かつ吸収の活性化エネルギーが約3倍に増大することがわかった。加熱処理により重水素吸収速度が低下したのは、表面偏析したTiが選択酸化されることにより酸素の表面被覆率が増大したためであると結論した。吸収の活性化エネルギー等を第一原理計算により求めたところ、実験結果が示した傾向をよく再現し、V合金表面での水素同位体の表面反応速度を予測する理論的基盤が構築できた。なお、重水素と軽水素の間での表面反応速度における同位体効果は小さく、実験誤差の範囲内であった。
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Research Products
(4 results)