2004 Fiscal Year Annual Research Report
気流中の放射性希ガス濃度測定システムの開発とその利用に関する研究
Project/Area Number |
14380236
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宗像 健三 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (70264067)
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Keywords | 放射性希ガス / 吸着 / クリプトン / キセノン / 測定システム / 数値シミュレーション / 設計 / モニタリング |
Research Abstract |
核実験の国際的な監視、核兵器を用いたテロ犯罪の防止、原子力の平和利用のために、放射性希ガスの気流中の希ガス検知システムは、確立すべき重要技術である。本研究では、大気中放射性希ガス分析において核となる低温における放射性希ガスの吸着技術と放射性希ガスの濃縮分離技術の確立を目的とする。前年度において実験装置の温度制御に問題があることがわかったため、実験装置の改良を行った。それと平行し、液体アルゴンを冷媒として用いた吸着材のスクリーニングテストを行った。この結果、炭素系吸着材がクリプトンの吸着において有効であり、非炭素系吸着材では、共存窒素ガスの影響を受け、クリプトンの吸着量がきわめて小さくなることがわかった。このスクリーニングテストの結果を受け、改良を施した実験装置を用い、温度領域を広げ、炭素系吸着材におけるクリプトンの吸着特性を詳細に調べた。吸着材には、Merck社製活性炭、岸田理化社製活性炭、Ambersorb572、粒状白鷺を用いた。実験で得られた吸着破過曲線を解析し、吸着平衡特性、吸着速度を定量化した。いずれの吸着材においても吸着平衡はラングミュア式で整理できることがわかった。また、物質移動については、表面拡散の効果が無視できないこともわかった。この結果、低温においてクリプトンの吸着量と吸着速度に関して、良好な性能を持つ吸着材は、Ambersorb572であることがわかった。また、Merck社製活性炭について得られた結果を用いて、気象研究所の大気中クリプトンのモニタリングシステムに用いられている実際のクリプトン捕集用吸着材の数値シミュレーションを行った。この結果、80〜100Kの温度範囲においては、上記システムに使用されている量の吸着材では、目標とされる期間、大気中のクリプトンを100%捕集できることがわかった。また、低温で確実に運転する場合、Ambersorb572を用いれば、システムの小型化が可能であることもわかった。さらに、ドライアイス温度におけるキセノンの吸着特性を調べた。この結果、銀モルデナイトが有効な吸着材であることがわかった。
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