2003 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射高温水環境におけるステンレス鋼の電位制御に関する研究
Project/Area Number |
14380238
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
石榑 顕吉 埼玉工業大学, 先端科学研究所, 教授 (90010975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 昇一 (財)産業創造研究所, 研究員
浅井 圭介 東北大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60231859)
田中 虔一 埼玉工業大学, 先端科学研究所, 教授 (00016718)
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Keywords | SCC / 電気化学腐食電位 / 過酸化水素 / 分極曲線 / 限界電流密度 / 酸化被膜 / 不動態化 / ステンレス鋼 |
Research Abstract |
昨年度に引き続きステンレス鋼の応力腐食割(SCC)の制御において重要な環境因子の指標である電気化学腐食電位(ECP)を支配する要因の解明を進めている。 (1)原子炉水の放射線分解生成物の中で最も重要なH_2O_2存在下に室温でステンレス鋼のECP及びカソード分極曲線の測定を行なって、ECP値はH_2O_2濃度と共に上昇するが、高濃度側ではフラットとなり、その上昇が著しく抑制されることを明らかにした。H_2O_2/O_2混合系ではECPは多くの場合H_2O_2によって決定されることが示された。またH_2O_2存在下においてはECPの計算値が実測値を大幅に上回ることが明らかとなった。 一方、カソード分極曲線の測定では限界電流密度を観測することができ、H_2O_2カソード反応の限界電流密度はH_2O_2濃度の1乗に比例することを確認した。 実験で得られたカソード分極曲線と計算結果との比較から、H_2O_2のアノード反応への関与をモデル中に取り入れる必要があるばかりでなく、H_2O_2カソード反応の交換電流密度を想定値より相当低くとる必要があることが分った。白金電極においては、高電位側でH_2O_2がアノード反応に関与していることを確認することができた。 (2)予め表面に酸化被膜を付与したステンレス鋼のアノード分極曲線の測定から、表面被膜存在下では、ステンレス鋼の分極過程における不動態化電流密度が被膜付与が無い場合に比較して低い値となり、この事がH_2O_2低濃度側でECPの値を押し上げる原因となっていることが明らかとなった。またこの不動化電流密度の低下は存在する酸化被膜の形態に依存しており、被膜がヘマタイトベースである場合にこの効果は大きく、フェライト(マグネタイト)の場合には大きくないことが判明した。現在スパッタリングによって付与された酸化被膜やZn存在下で形成された皮膜について、そのアノード分極曲線に及ぼす影響を引き続き検討している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H.Takiguchi, H.Takamatsu, S.Uchida, K.Ishigure et al.: "Water Chemistry Data Acquisition, Processing, Evaluation and Diagnostic Systems in Light Water Reactors"J.Nuclear Science Technology. 41. 214-225 (2004)
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[Publications] S.Ono, K.Ishigure et al.: "Electrochemical Potentials of Stainless Steel in High Temperature Water"Proc.Int.Seminar on Water Chemistry and Corrosion in Nuclear Power Plants in Asia. 168-173 (2003)
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[Publications] C.Yabe, K.Ishigure, S.Ono et al.: "Effect of Oxide Films on Electrochemical Polarization Behavior of Stainless Steel in Aqueous System"Proc.Int.Seminar on Water Chemistry and Corrosion in Nuclear Power Plants in Asia. 307-312 (2003)
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[Publications] K.Tanaka, Y.Morooka, K.Ishigure et al.: "A new catalyst for selective oxidation of CO in H_2 Part 1. Activation by depositing a large amount of FeOx on Pt/Al_2O_3and Pt/CeO_2 catalysts"Catalysis Letters. 92. 115-121 (2004)
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[Publications] 石榑顕吉他: "原子力発電プラントの水化学最適化の実績と将来展望"日本原子力学会. 176 (2003)