2003 Fiscal Year Annual Research Report
汽水湖酸化還元境界層から生産される亜酸化窒素の地球温暖化に対する寄与
Project/Area Number |
14380243
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
清家 泰 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (30243421)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田村 緒佐武 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50030458)
持田 和男 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (30032577)
奥村 稔 島根大学, 総合理工学部, 教授 (30032650)
|
Keywords | 汽水湖 / 温暖化ガス / 亜酸化窒素 / 亜酸化窒素生成菌 / ヒドロキシルアミン / 窒素循環 / 酸化還元 / 硫化水素 |
Research Abstract |
1.汽水湖の無機態窒素の動態(担当:三田村・清家):本年度も日本の汽水湖中海に加え、比較の意味から韓国の汽水湖について調査した(本年度は、永郎湖と華津湖の2湖沼に絞り調査した)。その成果については,韓国の釜山国立大学で開催される日韓の陸水学に関する合同シンポジウム(2004年5月19〜22日)にて発表を予定している。 2.単体硫黄Sの定量法の開発研究(担当:奥村・清家)(投稿準備中):これまで湖底堆積物中の単体硫黄を定量するための優れた方法がなかったことからその開発に着手した。従来法には(1)Blank値が高い、(2)硫化水素やチオ硫酸イオンの妨害を受ける等の問題点があったが、本研究により、何れの問題点もクリアーできた。我々のこれまでの研究により、N_2O生成菌のなかには、N_2O生成時にH_2Sを利用することができるものがあり、そのときH_2Sを単体のSに変換することが示唆されている。本法の開発により、今後、この因果関係を明らかにできるものと期待さる。 3.ヒドロキシルアミン(亜酸化窒素の中間体)の定量法の開発(担当:清家・福森)(学術雑誌に掲載):当初、ヨウ素I_2を酸化剤に用い、ヒドロキシルアミンNH_2OHを亜硝酸イオンNO_2^-に酸化し比色定量する方法を開発した(分析化学に掲載)。この方法は、淡水から汽水・海水まで広範囲な試料に有効であるが、定量操作が煩雑なところに難点があった。そこで、次亜塩素酸ナトリウムを酸化剤に用いNH_2OHを亜酸化窒素N_2Oに酸化し、これをECD付ガスクロマトグラフで定量するという簡便で新規な方法を開発した(Analytical Scienceに掲載)。但しこの方法は、淡水試料に対しては有効であるが、塩分の妨害を受けるため汽水海永試料には適用できなかった。しかし、その後の研究により、本法に対する海水成分中の妨害物質を特定することができ、その対処策を見出すことができたことから、やっと汽水・海水にも適用可能となった(投稿準備中)。 4.硝化によるN_2O生成プロセスの検討(担当:清家・福森):やっと待望の汽水・海水にも適用可能なNH_2OHの定量法を完成できたことから、NH_2OHの分布や挙動に関するデータが取れはじめ、蓄積されつつある。今後、N_2Oの生成とNH_2OHの因果関係について明らかにできるものと期待される。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Mitamura O., Y.Seike, K.Kondo, N.Goto, K.Anbutsif, T.Akatsuka: "First investigation of ultra-oligotrophic alpine Lake Puma Yumco in the pre-Himarayas, China"Limnology. 4. 167-174 (2003)
-
[Publications] 福森亮子, 千賀有希子, 奥村稔, 藤永薫, 清家泰: "固相抽出法を用いる環境水中ヒドロキシルアミンの前処理及び前濃縮/吸光光度定量法"分析化学. 52. 747-753 (2003)
-
[Publications] Okumura M., M.Yata, K.Fujinaga, Y.Seike: "A simple collection and separation method using a small anion-exchange column for the determination of sulfide in sediments"J.Ion Exchange. 14. 221-224 (2003)
-
[Publications] Seike Y., R.Fukumori, Y.Senga, H.Oka, K.Fujinaga.M.Okumura: "A simple and sensitive method for the determination of hydroxylamine in fresh-water samples using hypochlorine, followed by gas chromatography"Analytical Science. 20. 139-142 (2004)