2003 Fiscal Year Annual Research Report
種々の環境ストレスによるp53のシグナル伝達とそのクロストーク
Project/Area Number |
14380255
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡市 協生 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80124874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 寛 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00073130)
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Keywords | p53 / 環境ストレス / クロストーク / 放射線応答 / シグナル伝達 / リン酸化 |
Research Abstract |
1.環境ストレスによるp53の応答を細胞が生きたまま簡便に調べるために、p53遺伝子とGFP遺伝子を融合した遺伝子を細胞に導入しクローンを多数取った。さらに、GFP融合遺伝子導入細胞のクローンで、放射線に応答して蛍光を出す細胞の選択を行ったところ、いくつかの細胞クローンが得られた。現在、このクローンを用いて各種環境ストレスのクロストークについて解析しようとしている。 2.ストレスによるp53のリン酸化とアセチル化機構を詳しく調べるために、p53のリン酸化とアセチル化部位の変異遺伝子を合計27種類作成し、細胞に導入してクローンを得た。このクローンのうち、S15AとS15Dの遺伝子を導入した細胞の放射線応答と、細胞増殖への影響を調べた。放射線に対してはS15AとS15Dともに下流遺伝子のWaf-1誘導能を失っていた。細胞増殖抑制能については、S15Aは抑制能を失っていたが、S15Dは強い抑制を示した。そこで、DNAチップを用いて、S15Dにおいて誘導される遺伝子の解析を行っている。 3.加重力ストレスにより、p53の下流遺伝子の誘導がおこるかどうか調べた。驚いたことに、p53が蓄積誘導され、S15のリン酸化が起こっているにもかかわらず、Waf-1やBaxなどの下流遺伝子の誘導は観察されなかった。そこで、DNAチップを用いて、加重力によるストレスシグナルがどのような遺伝子を調節しているのかについて解析を行った。ウエスタンブロットで得られた結果と同様に、DNAチップでもWaf-1やBaxの誘導は観察されず、さらに、その他のp53下流遺伝子の誘導もまったく観察されなかった。代わりに、p53以外の細胞内シグナル伝達や、細胞骨格に関連する遺伝子が誘導されていることが分かった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Okaichi, K., Usui, A., Ohnishi, T., Okumura, Y: "Hypergravity modified the signal transduction of ionizing radiation through p53"J.Radiat.Res.. 43. 261-264 (2002)
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[Publications] Okaichi, K., Suzuki, K., Morita, N., Ikeda, M., et al.: "Low dose of wortmannin reduces radiosensitivity of human glioblastoma cells through the p53 pathway"Oncol.Rep.. 9. 859-862 (2002)
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[Publications] Matsuu, M., Shichijo, K., Okaichi, K., Wen, Y.C., Fukuda, et al.: "The protective effect of fermented milk Kefir on radiation-induced apoptosis in colonic crypt cells of rats"J.Radiat.Res.. 44. 111-115 (2003)
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[Publications] Okaichi, K., Suzuki, K., Morita, N., Ikeda, M., et al.: "Low dose of wortmannin reduces radiosensitivity of cells. In "Radiation and Humankind""Elsevier Science. 359-362 (2002)
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[Publications] Okaichi, K., Ide, M., Okuinura, Y.: "Radiation sensitivity and mutation position of p53. in "Radiation and Homeostasis""Elsevier Science. 239-243 (2003)