2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14380256
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
VLADIMIR Saenko 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30343346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 俊一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30200679)
難波 裕幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80237635)
大津留 晶 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (00233198)
高村 昇 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (30295068)
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Keywords | 放射線 / 甲状腺がん / ミトコンドリア / BRAF / 分子診断 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
放射線誘発甲状腺がんの刻印遺伝子解明の研究を継続し、ミトコンドリア(mt)DNAの遺伝子欠損以外に、多くの点突然変異や異常mtDNAの蓄積が甲状腺腫瘍組織で見出されることをまとめた。しかし、mtDNAの長鎖欠損以外に放射線被ばく線量との明確な関連性は乏しく、また甲状腺以外の組織での刻印遺伝子異常の発見は困難であった。一方チェルノブイリ周辺での小児甲状腺がん組織を用いた種々の遺伝子解析の結果、成人乳頭腺がんに多く見られるBRAF遺伝子異常の頻度が少なく、このBRAF遺伝子異常の低頻度が小児がん全般の特徴であることを見出した。同時に放射線被ばくによるBRAF遺伝子異常の頻度に差はなく、年齢とともに甲状腺乳頭がんにおけるBRAF遺伝子異常の頻度が増加することを見出した。今後被ばくから発症までの潜伏期の違いでret/PTCの再配列異常の頻度と、BRAF遺伝子異常との関連性について調査する予定である。甲状腺乳頭がん組織で見られる遺伝子異常の特徴が、ret/PTC、ras、BRAFといずれも独立した遺伝子異常として検出され(オバーラップがない)、その結果細胞内情報伝達系の異常亢進によるMAPキナーゼの恒常的活性亢進という共通機構を見出すことができた。更にアポトーシス逸脱に関するNFκBの活性上昇を分化度が低い甲状腺がんに見出すと同時に、これら異常活性の亢進に関する分子を標的とした新たな治療法の開発に成功している。これらの研究成果は、網羅的包括的な標的遺伝子の発現プロファイルの検索による甲状腺がんの分子診断方法の開発につながり、同時に分子標的治療の新たな可能性を導くという基礎的データの蓄積に貢献している。事実、細胞診での術前診断困難な症例でのBRAF遺伝子異常の検出感度の改良やがん特異的発現遺伝子群のRTPCRによる半定量方法の組み合わせによる新たな遺伝子診断手法の開発成果を挙げている。これらの分子診断方法を駆使し、放射線被ばくの有無での刻印遺伝子発掘から幅広い臨床応用への可能性が期待される。
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Research Products
(6 results)