2004 Fiscal Year Annual Research Report
新たな環境強変異原物質、ニトロベンズアントロンの生成と生物学的影響評価
Project/Area Number |
14380259
|
Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
安達 修一 相模女子大学, 学芸学部, 助教授 (90129148)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲津 晃司 東京工業大学, フロンティア創造共同研究センター, 助手 (70272698)
|
Keywords | ニトロベンズアントロン / ニトロアレーン / DNA付加体 / ディーゼル / 肺腫瘍 / 肺がん / 変異原性 / 大気汚染 |
Research Abstract |
3-NBAの肺内投与では、6mg/rat投与で全例が投与開始6ヵ月以内に死亡し、肺には、強い肺胞炎と扁平上皮化生がみられた。肺腫瘍として、扁平上皮がんは、雌の1.5mg投与で21例中3例、2.5mg投与で33例中11例に認め、雄の1.5mg投与では25例中3例に観察している。また、雌の1.5mg投与と2.5mg投与の各1例の肺に腺がんを観察した。3-NBA吸着炭粉を経気道肺内投与したラットは投与後1週間以内に死亡した。原因は不明であるが、炭粉のみ、あるいは3-NBAのみを同用量投与したラットでの死亡例は見られない。反復投与終了1日後から12週後までの肺、肝、腎におけるDNA付加体のうち、Retention time56分から58分に検出されている3つの主要なピークの合計は、臓器別では腎で高く、投与終了後でも各臓器のDNA付加体には明らかな減少が見られず、一定のレベルで推移している。(安達) 大気浮遊微小粒子の変異原性の起源とそれに影響を及ぼす因子を解明するため、種々の条件でPM2.5とPM10について捕集し、その変異原性及びPAHs濃度の変動を観測した。その結果、気象要素やSO2等の変異原性や変異原物質の二次生成に対する影響が明らかにされた。高感度ニトロアレーン分析法であるRed-HPLC/CLD法を、2-及び3-NBAと1-及び2-ニトロトリフェニレン(NTP)の分析に応用した。これらの異性体について分離が出来、高感度分析が可能であった。さらに、既知ニトロアレーンとの分離も良好であり、同時分析が可能であることを見出した。また、定量限界は既往のGC/MSやHPLC/FLD法より10〜100倍高く、再現性も相対標準偏差5%以下と良好であった。この方法により、通常の方法による15分のサンプリングで大気浮遊粒子中のニトロアレーンの定量分析が可能となった。(稲津)
|