Research Abstract |
培養した赤潮プランクトン,ヘテロカプサ・サーキュラリスカーマ藻体の1-ブタノール可溶画分がカキに対して致死活性を示した。1-ブタノール可溶画分を,ヘキサン-80%メタノールで分配した後,得られたメタノール可溶画分を逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画した。活性画分をゲルろ過,シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび逆相高速液体クロマトグラフィーを用いて精製し,2種のカキ致死活性物質,ヘテロカプサトキシンA(HTX-A)およびヘテロカプサトキシンB(HTX-B)を単離した。 HTX-Aの分子量は,MALDI-MSから5,024であった。また,HTX-Bは,1,980であった。それぞれの^1Hおよび^<13>C NMRスペクトルおよび化学的性質から,いずれも類似の構造で,酸素官能基を多く含むことが明らかとなった。また,それぞれをアセチル化することによって,3〜4ppm付近のシグナルの多くが5ppm付近に低磁場シフトしたことから,これらの化合物は,水酸基を多く含む構造であることが推定された。 HTX-Aが高分子であったため,直接の構造決定が困難であった。そこで,分子中に存在する5個の二重結合をオゾンで分解した。分解生成物のうち,高極性化合物を単離・精製し,その構造決定を行った。この分子は,C_<46>H_<84>O_<22>であった。^1H NMR,^<13>C NMRおよび各種2次元NMRを解析することによって,その平面構造を決定した。この分子の立体化学に関しては,^1H NMRの化学結合定数の解析ならびにROESYの解析を行うことによって決定する予定である。また,他のオゾン分解生成物の構造解析を行っている。 一方,HTX-Bは,その収量がHTX-Aの1/10程度の極微量である。現在まで,NMRを中心に構造解析を行っている。今後,さらに分解反応による構造解析を行うため,サンプルの蓄積を行っている。
|