2003 Fiscal Year Annual Research Report
クロモプロテイン系抗腫瘍性抗生物質における低分子認識及び放出機構の解明
Project/Area Number |
14380284
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 俊之 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (10217052)
|
Keywords | クロモプロテイン / 抗生物質 / 低分子認識 / 部位特異的改変 / NMR / カロリメトリー |
Research Abstract |
放線菌由来のクロモプロテイン系抗生物質は、ラジカルを発生しDNA切断活性を示す非常に不安定なクロモフォアと、これを特異的に結合して安定化するアポタンパクから構成される複合体であり、強力な抗腫癌活性を示す。本研究では、1)異種核多次元NMR解析による複合体の高分解能三次元構造決定、2)部位特異的改変アポタンパクを用いたクロモフォア・アポタンパク間相互作用の解析、3)アポタンパクの分子運動性の解析を行い、アポタンパクによるクロモフォア認識機構及び放出機構を詳細に理解することを目的とする。今年度は、C-1027をターゲットとし、そのアポタンパクの低分子化合物結合能の改変と分子運動性の解析を行った。 ネオカルジノスタチンとC-1027のNMR構造解析の結果を基に、C-1027アポタンパクのクロモフォア結合部位入口に存在するP76に着目し、これを芳香環を持つアミノ酸残基に変えたP76F、P76Y及びP76W変異体を作製した。NMR法とカロリメトリー法を用いて、これら変異体の低分子化合物結合能とタンパク質主鎖の分子運動性を解析した結果、いずれの変異体も野生型より優れたクロモフォア結合能を示さなかったが、野生型が本来結合出来なかった、クロモフォアより低分子量のエチジウムブロマイドを強く結合出来ることがわかった。また、クロモフォアの放出に関わるループの位置を決めるアミノ 酸残基を特定することに成功した。
|