2004 Fiscal Year Annual Research Report
クロモプロテイン系抗腫瘍性抗生物質における低分子認識及び放出機構の解明
Project/Area Number |
14380284
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 俊之 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (10217052)
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Keywords | クロモプロテイン / 抗生物質 / 低分子認識 / 部位特異的改変 / NMR / カロリメトリー |
Research Abstract |
放線菌由来のクロモプロテイン系抗生物質は、ラジカルを発生しDNA切断活性を示す非常に不安定なクロモフォアと、これを特異的に結合して安定化するアポタンパクから構成される複合体であり、強力な抗腫瘍活性を示す。本研究では、1)異種核多次元NMR解析による複合体の高分解能三次元構造決定、2)部位特異的改変アポタンパクを用いたクロモフォア・アポタンパク間相互作用の解析、3)アポタンパクの分子運動性の解析を行い、アポタンパクによるクロモフォア認識及び放出機構を詳細に理解することを目的とする。今年度は、C-1027をターゲットとし、その超天然型アポタンパクのNMR解析を行った。 クロモフォアとの親和性が高く(野生型アポタンパクの約5倍)、かつ周囲のpHに親和性が影響を受けないH104F変異体及びクロモフォアとの親和性は野生型とほぼ同程度であるものの、その解離速度が遅いD43N変異体をターゲットとし、これらの安定同位体標識タンパク質を調製し、アポタンパク単独及び芳香環化クロモフォアとの複合体のNMR構造解析と分子運動性の解析を行った。その結果、H104F変異体では、クロモフォアを包接する疎水性ポケットが深くなり、周囲の溶媒からより隔離されることによって、D43N変異体では、疎水性ポケットを形成する二つのループ間の相互作用が強くなり、ポケットの開閉が遅くなることによって、野生型を超えるクロモフォア結合能を獲得しているのではないかと考えられた。
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