2003 Fiscal Year Annual Research Report
有用物質生産系開発を指向したトリテルペンの生合成工学
Project/Area Number |
14380285
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渋谷 雅明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (50170923)
|
Keywords | トリテルペン / セイヨウタンポポ / アキレオール / 閉環酵素 / 水酸化酵素 / チトクロームP450 / ダイズ / ソヤサポニン |
Research Abstract |
前年度に引き続きトリテルペン生産植物からトリテルペン合成酵素のクローニングを行った。その結果、セイヨウタンポポからアキレオール合成酵素のクローニングに成功した、アキレオール合成酵素のアミノ酸配列は他の植物からクローニングされたβ-アミリン合成酵素に相同性が高く、系統樹解析ではβ-アミリン合成酵素の分枝に入るが、興味深いことに生成物として5環性ではなく1環性の生成物を与えた。アミノ酸配列を解析したところ、酵素活性部位に存在するDCTAE配列の2アミノ酸上流に存在し、多くのトリテルペン合成酵素に保存されているバリン残基が、アキレオール合成酵素ではグリシンになっていた。そこで、このグリシンをバリンに変換し酵母で発現させたところ、生成物はβ-アミリンになった。このことから、今回得られたクローンはβ-アミリン合成酵素からアキレオール合成酵素進化したものと考えられ、ゲノム遺伝子の解析によるバリン-グリシン間の変異が生じた段階の解明が、今後の課題と思われる。また、他のキク科植物からアキレオールの単離の報告はあるが、セイヨウタンポポからの単離の報告はなく、今回の結果は機能ゲノム学的アプローチによる新規化合物の単離と捉えることができると考えられる。 また、前年度に引き続きトリテルペン水酸化酵素のクローニングを行った。トリテルペンの水酸化酵素はチトクロームP450型の酵素タンパクであること仮定し、ダイズESTデータベースに存在するクローンを酵母で発現させ、その機能を解析した。ダイズの芽生えにはソヤソポニンが大量に含まれることから、ダイズにはβ-アミリンの22位及び24位水酸化酵素が存在すると考え、β-アミリンを基質として酵素活性を調べたところ、CYP93E1に微量ながらβ-アミリンに対する水酸化活性が検出された。今後・再現性・水酸化位置の特定が今後の課題と思われる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Yutaka Ebizuka: "Functional Genomics Approach to the Study of Triterpene Biosynthesis"Pure Appl.Chem.. 75. 361-366 (2003)
-
[Publications] Hong Zhang: "Oxidosqualene Cyclase from Cell Suspension Cultures of Betula platyphylla var. japonica : Molecular Evolution of Oxidosqualene Cyclases in Higher Plants"Biol.Pharm.Bull. 26. 642-650 (2003)
-
[Publications] Yuichi Sakano: "Lanopylins A1, B1, A2 and B2, Novel Lanosterol Synthase Inhibitors from Streptomyces sp. K99-5041"J.Antibiotics. 56. 817-826 (2003)
-
[Publications] Shui-Qin Wu: "Two O-Methyltransferases Isolated from Flower Petals of Rosa chinensis var. spontanea Involved in Scent Biosynthesis"J.Bioscience and Bioengineering. 96. 119-128 (2003)
-
[Publications] 渋谷雅明: "トリテルペンサポニンの構造多様性と分子的起源"薬学雑誌. 123, suppl.3. 158-161 (2003)
-
[Publications] 渡邊敬浩: "遺伝子組換えトウモロコシ(CBH351)ならびにジャガイモ(NewLeaf PlusおよびNewLeaf Y)定性検査法を対象とした外部精度管理方法の検討"食品衛生学雑誌. 44. 281-288 (2003)