2002 Fiscal Year Annual Research Report
非天然アミノ酸を利用した人工構造モチーフ構築に基づく人工蛋白質の創出
Project/Area Number |
14380292
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石田 斉 北里大学, 理学部, 助教授 (30203003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 茂郎 北里大学, 理学部, 教授 (80213619)
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Keywords | 人工蛋白質 / 非天然アミノ酸 / ルテニウム / ビピリジン / アミド基 / 光化学的性質 / アニオン結合能 / 青色発光物質 |
Research Abstract |
我々は、非天然アミノ酸をペプチドへ導入し、ペプチドのコンフォーメーションを制御することによって、特定の高次構造をもつ人工蛋白質の開発を目指している。本研究では、金属配位性の非天然アミノ酸を導入したペプチドを合成し、金属イオンへの配位を介して、人工的にペプチドを折り畳ませ、人工的な構造モチーフをもつ人工蛋白質を得ようとしている。このような人工蛋白質は、ペプチドのもつ機能に加えて、中心の金属錯体の機能もあわせて発揮することが期待される。本研究では、多様な金属に配置可能な2,2'-ビピリジンを骨格に有する非天然アミノ酸である5'-アミノー2,2'-ビピリジル-5-カルボン酸を合成した。この場合、金属イオンにルテニウムを用いると、中心の金属錯体は発光特性・光電子移動など様々な光機能を有するルテニウムトリス(ビピリジン)型錯体となり、得られる人工蛋白質も光機能を発揮することが期待される。しかしながら、本研究で対象とする2,2'-ビピリジンの5,5'-位にアミド基を有するルテニウムトリス(ビピリジン)型錯体は、その光化学的性質が知られていなかったため、モデル錯体としてこれらの錯体を合成して、その光化学的性質を詳細に検討した。その結果、アミド基の向きの違い(-C(O)NHRまたは-NHC(O)R)によって発光特性が大きく異なり、-NHC(O)R型錯体が長寿命、高量子収率であることを明らかとした。また、これらアミド基を有する錯体は、ハロゲン或いは酢酸イオンのようなアニオン種と強く結合し、発光強度を変化させることによりアニオンセンシング分子として作用することを見出した。さらにこれらの研究に派生して、2,2'-ビピリジンの5,5'-位にベンズイミダゾールを接続した化合物が、高効率な青色蛍光物質であることを見出した。
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