2002 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析によるタンパク質翻訳後修飾のダイナミズム解析
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14380293
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高尾 敏文 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (10197048)
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Keywords | 質量分析 / タンパク質 / 修飾構造 / ヒストン / アセチル化 / メチル化 / ESI / MALDI |
Research Abstract |
本研究は、複数のアミノ酸上に数種類の異なる修飾を受けているタンパク質の修飾構造を効率よく解析する方法を確立し、様々な生理的条件下におけるタンパク質修飾構造のダイナミズムの解明に応用することを目的として行った。質量分析による修飾構造解析を試みるにあたって、試料として複雑な修飾構造を有するトリ赤血球由来ヒストンを用いてスタンダード実験を行った。トリ赤血球核から抽出した4種類のコアヒストン(H2B、H2A、H3、H4)のエレクトロスプレーイオン化(ESI)質量スペクトルパターンでは、14Daずつ質量が増加していく分子量分布が観測された。それらは、修飾(メチル化(+14Da)、アセチル化(+42Da))あるいは配列上のバリアントに起因すると考えられた。修飾の種類が限られているH2BとH2A、H4は、タンパク質全体の分子量からも、ある程度その修飾様式が予想できた。しかし、H3に対して観測された分子量は、修飾の組み合わせに様々な可能性が考えられ、タンパク質全体の分子量情報だけでは、修飾様式を帰属するには不十分であった。H3の解析を困難にしている理由のひとつに、トリメチル化(42.0470)とアセチル化(42.0106)が混在することがあげられる。ここでは、両者の分子量が約30mDa差であることに着目して、ESI-MSによる精密質量測定を行い、両者が区別できることを示した。さらに、それぞれの修飾を示唆する情報として、ESI及びマトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)タンデム質量分析において、それらに特異的なインモニウムイオン、すなわち、アセチルリジンではm/z126、メチルリジンではm/z98のイオンが強く観測されることを見出した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamura, A., et al.: "Structural studies by stepwise enzymatic degradation of the main backbone of soybean soluble polysaccharides consisting of galacturonan and rhamnogalacturonan"Biosci. Biotechnol. Biochem. 66. 1301-1313 (2002)
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[Publications] Nakamura, A., et al.: "Analysis of the molecular construction of xylogalacturonan isolated from soluble soybean polysaccharides"Biosci. Biotechnol. Biochem. 66. 1155-1158 (2002)
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[Publications] Shen S., et al.: "A proteomic analysis of leaf sheaths from rice"J. Biochem(Tokyo). 132. 613-620 (2002)
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[Publications] Shime, H., et al.: "Association of Pasteurella multocida toxin with vimentin"Infect. Immun. 70. 6460-6463 (2002)
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[Publications] Hirota, J., et al.: "ε-N,N,N-Trimethyllysine-specific ions in matrix-assisted laser desorption/ionization-tandem mass spectrometry"Rapid Commun. Mass Spectrom. 17. 371-376 (2003)
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[Publications] 廣田淳子, 高尾敏文: "ヒストンコード"ヒストン翻訳後修飾のダイナミズムとその生理的意義「化学」"共立出版. 56-57(分担) (2002)