2003 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析によるタンパク質翻訳後修飾のダイナミズム解析
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14380293
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高尾 敏文 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (10197048)
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Keywords | 質量分析 / タンパク質 / 翻訳後修飾 / ヒストン / アセチル化 / アポトーシス / エレクトロスプレーイオン化 / ソフトウェアー |
Research Abstract |
本研究は、複数のアミノ酸上に数種類の異なる修飾を受けているタンパク質の修飾構造を効率よく解析する方法を確立し、様々な生理的条件下におけるタンパク質修飾構造のダイナミズムの解明に応用することを目的として行った。前年度行ったヒストンにおける様々な修飾の質量分析の結果をもとに以下の研究を行った。 1)多種多様な翻訳後修飾を含むペプチド・蛋白質の質量や同位体分布を自由に計算でき、複雑な質量スペクトルの評価を確実に行えるソフトウェアーを作成した。また、修飾はユーザー毎にライブラリーとして自由に登録、管理できるシステムを考案した。 2)複数のアセチル化リシンを含むペプチドのエレクトロスプレーイオン化質量分析におけるイオン化効率がほぼ一定であることを証明した。ヒストンのように同一配列内においてアセチル化が複数かつ不均一に起きている場合に、質量分析によりアセチル化の量的な相対比を見積もることが可能であることがわかった。 3)X線照射による2重鎖DNAの破壊により細胞のアポトーシスが誘導されることが知られている。本研究では、細胞内でその引き金となっている分子を解明する目的で、X線照射したマウスの胸腺から抽出、単離した細胞質画分からヒストンH1(サブタイプ5種)を新たに同定し、質量分析を用いてサブタイプごとに核内の対応するH1と厳密に比較し、修飾の有無や変化を調べた。その結果、細胞質に回収されるH1と核内のH1では修飾やサブタイプ間の相対的な量の変動はなかった。従って、X線照射にょりH1が一部細胞質に漏れ出ることによりアポトーシスが誘導されるということが示唆され、さらに、5種のサブタイプの内、H1.2がアポートーシスを顕著に誘導することがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Konishi, A. et al.: "Involvement of histone H1.2 in apoptosis induced by DNA double-strand breaks."Cell. 114. 673-688 (2003)
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[Publications] Minamino, N. et al.: "Determination of endogenous peptides in the porcine brain : possible construction of peptidome, a fact database for endogenous peptides."J. Chromatography B.. 792. 33-48 (2003)
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[Publications] Tsuchiya, K. et al.: "Molecular cloning and characterization of TPP36 and its isoform TPP32, novel substrates of Abl tyrosine kinase."FEBS Lett.. 537. 203-209 (2003)
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[Publications] Mizushima, N. et al.: "Mouse Apg16L, a novel WD-repeat protein, targets to the autophagic isolation membrane with the Apg12-Apg5 conjugate"J. Cell Science. 16. 1679-1688 (2003)
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[Publications] Takao, T.: "Proteomics Research by Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization Mass Spectrometry"The review of laser engineering. 31. 13-15 (2003)
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[Publications] 高尾敏文(分担): "質量分析による蛋白質の配列分析、臨床検査 47巻 11号"医学書院. 1253-1527 (2003)