2004 Fiscal Year Annual Research Report
情報伝達ネットワークシステムを作動させるホスファターゼ分子群の分子機構と意義
Project/Area Number |
14380299
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊池 九二三 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (20006117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 礼 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (10196462)
田沼 延公 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (40333645)
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Keywords | トウトマイセチン / PP1 / siRNA / MKP-7 / DSP / LDP-3 / B-Raf |
Research Abstract |
1型セリン/スレオニンホスファターゼPP1の各アイソフォームをsiRNAを用いてノックダウンさせて、細胞増殖への影響を調べた。その結果、PP1αのノックダウンにより増殖が最も強く抑制を受けた。PP1の特異的阻害剤トウトマイセチンがRaf-1およびB-Rafを抑制することを明らかにした。PP1の核局在性調節因子NIPP-1が、細胞質における翻訳を制御している可能性が示唆された。JNK特異的ホスファターゼMKP-7のSer-446残基が、増殖刺激に応答性の活性化ERKによりリン酸化され、安定化することを見いだした。これにより、増殖刺激に対し、MAPKファミリーの中でERKが特異的に作動し、JNKおよびp38は抑制される。新規の低分子性二重基質特異性ホスファターゼLDP-3が同定され、その性状が解析された。LDP-3は、450bpのORFによりコードされ、150アミノ酸残基から成る。マウスでは、ほとんどの臓器で遺伝子が発現されていることが、ノザンブロットおよびRT-PCR法で明らかになった。LDP-3が過剰発現された細胞では、0.4Mソルビトール浸透圧刺激に応答して、JNKおよびp38経路が活性化することを見いだした。この現象は、LDP-3のホスファターゼ活性の有無に関係なく観察された。これにより、LDP-3が新たな調節因子として働いている可能性が示唆された。以上の実験結果に基づき、またすでにわれわれが得ている成績を考慮に入れることにより、プロテインホスファターゼの細胞内情報伝達ネットワークにおける新たな役割・意義・分子機構の解明が進んだ。
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Research Products
(8 results)