2004 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリオロドプシンのポンプスイッチはどこにあるのか
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14380316
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
神取 秀樹 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (70202033)
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Keywords | バクテリオロドプシン / プロトンポンプ / 赤外分光法 / スイッチ / レチナール / 塩素イオンポンプ / ハロロドプシン / 水分子 |
Research Abstract |
分子ポンプは濃度勾配に逆らってイオンを(能動)輸送することができるが、そのメカニズムは全くわかっていない。本研究では、バクテリオロドプシンの一方向性が決定される機構を明らかにするため、ポンプのスイッチ(方向性を決定する部分)がどこにあるのかを実験的に調べることを試みた。平成16年度は、バクテリオロドプシンやハロロドプシンに対する低温赤外分光などを用いて以下のような研究成果が得られた。 バクテリオロドプシンのシッフ塩基領域に存在し、内部結合水と水素結合を形成すると考えられているArg82の伸縮振動を帰属することに成功した。その結果、光異性化により水分子を含む水素結合ネットワークに摂動が生じてArg82の水素結合変化が起こること、その摂動がL中間体で緩和する一方、Arg82が動くM中間体では振動数は同じであるものの双極子モーメントが変化することを偏光赤外分光により明らかにした。 ハロロドプシンは、プロトンではなく塩素イオンを輸送する光駆動ポンプ蛋白質である。ハロロドプシンの内部結合水を低温赤外分光によって解析した結果、バクテリオロドプシンのような水素結合の強い水分子が存在しないことを見出した。ハロロドプシン中の塩素イオンは、プロトンポンプとは異なる機構で水和されていることが明らかになった。 バクテリオロドプシンと同じファミリーに属しながら、プロトンをポンプしないアカパンカビロドプシンには水素結合の強い水分子が存在しないことがわかった。我々が見出した水素結合の強い水分子の存在は、プロトンポンプにおけるスイッチ機構と密接な相関をもつことが示唆された。
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