2003 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ味覚受容機構の分子神経生物学的解析
Project/Area Number |
14380329
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷村 禎一 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (20142010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 顕 九州大学, 高等教育総合開発研究センター, 助手 (40229539)
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Keywords | ショウジョウバエ / 味覚 / 糖 / 苦味物質 / 電気生理学 / 味覚受容体 |
Research Abstract |
ショウジョウバエの味覚受容機構を解明するには、それぞれの味細胞の生理学的な性質を明らかにして、受容体遺伝子の発現パターンとの対応づけることに加えて、それぞれの味細胞の中枢への機能的な投射パターンを明らかにする必要がある。ショウジョウバエの脚と唇弁にある1本の味覚感覚子には、それぞれ水(W)、糖(S)、塩(L1、L2)の味質に応答する4つの味細胞が存在する。昨年度の研究によって同定された2個の味細胞しかもたないI-タイプの唇弁の感覚子の味細胞の性質を明らかにした。Iタイプの感覚子は、糖(S)、低濃度の塩(Ll)、高濃度の塩(L2)、苦味物質の4種類の味質に応答した。このうち、糖と低濃度の塩は一つの味細胞で受容されており、この2種類の味質を同時に刺激物質として与えると単一の味物質で刺激したときよりも相乗効果があることがわかった。これは、これまでに発見されている糖受容体・塩受容体の受容メカニズムに新たな見解を示すものである。また、高濃度の塩と苦味物質は別の味細胞で受容されており、この味細胞からの情報は摂食行動に対して抑制的にはたらくものと考えられる。このような応答性に対応した味覚受容体候補遺伝子の発現は見いだすことができなかった。今後、これらの細胞を分子遺伝学的な手法により細胞死をおこさせ、摂食行動にどのように寄与しているのかを解明する。味細胞からの投射パターンを同定するため、様々なGal4系統を用いると共に、Yellow-Cameleonを用いたカルシウムイメージングによって、各味細胞からの投射パターン同定を試みる実験は進行中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Meunier, N., et al.: "Peripheral coding of bitter taste in Drosophila"J.Neurobiol.. 56. 139-152 (2003)
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[Publications] Pyza, E. et al.: "Development of PDF-expressing cells, possible clock neurons, in the housefly, Musca domestica"Micros Res.Techniq.. 62. 103-113 (2003)
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[Publications] Ishimoto, H., Tanimura, T.: "Molecular neurophysiology of taste in Drosophila"Cell.Mol.Life Sci.. 61. 10-18 (2004)