2002 Fiscal Year Annual Research Report
前頭連合野神経回路による多重情報表現とその処理機構の研究
Project/Area Number |
14380367
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船橋 新太郎 京都大学, 総合人間学部, 教授 (00145830)
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Keywords | 前頭連合野 / 情報の表象 / 情報処理機構 / 遅延反応課題 / 眼球運動 / ワーキングメモリ / 多重情報表現 / 神経回路網 |
Research Abstract |
本研究は、マルチモーダルな情報処理に深く関わる前頭連合野背外側部ニューロン群の活動を指標に、(1)前頭連合野背外側部の神経回路網はどのような方略により多重で柔軟な情報表現を実現しているのか、(2)情報処理の過程で、神経回路網上に表現されている情報はどのように変化するのか、(3)その変化のパターンにはどのような規則性が見られるのか、(4)このような変化を生じるメカニズムは何か、を解明する目的で計画した。初年度は、2頭のサルに、眼球運動を使った遅延反応(ODR)課題と、O-ODR課題(注視点に現れる視覚刺激の色の違いにより上下左右のいずれかの位置へ眼球運動をすると報酬を与える)、S-ODR課題(手がかり刺激として視覚刺激を上下左右の4ヶ所に同時提示し、遅延後に4ヶ所のいずれかに眼球運動をすると報酬を与える)の3種類の課題を十分に訓練した。いずれの課題も、5秒の試行間間隔の後、TVモニターの中央に注視点が現れる。動物が注視を開始すると1秒後に、反応の手がかりとなる刺激が0.5秒間提示される。動物は、手がかり刺激提示の0.5秒間、そして3秒の遅延期間中、注視点を注視し続けなければならない。遅延期間の終了と同時に注視点が消え、これを合図に、0.5秒以内に、課題によって指示された位置へサッケード眼球運動をすればサルに報酬を与えた。約10ヶ月を費やして課題の訓練を終了し、現在、多電極制御システム(EPS)を装着したマニピュレータを用いて、サル前頭連合野背外側部に複数の記録電極を同時刺入し、ニューロン活動を記録し始めている。
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[Publications] Takeda, K., Funahashi, S.: "Prefrontal task-related activity representing visual cue location or saccade direction in spatial working memory tasks"Journal of Neurophysiology. 87. 567-588 (2002)
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[Publications] Funahashi, S., Takeda, K.: "Population vector analysis by primate prefrontal neuron activities"Journal of Biological Physics. 28. 527-537 (2002)
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[Publications] Inoue, M., Funahashi, S.: "Prefrontal delay-period activity is affected by visual cues presented outside the memory field"Neuroreport. 13. 2097-2101 (2002)
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[Publications] Funahahi, S., Takeda, K.: "Information processes in the primate prefrontal cortex in relation to working memory processes"Reviews in the Neurosciences. 13. 313-346 (2002)
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[Publications] 松波謙一, 船橋新太郎, 櫻井芳雄: "記憶と脳"サイエンス社. 225 (2002)