2003 Fiscal Year Annual Research Report
前頭連合野神経回路による多重情報表現とその処理機構の研究
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14380367
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船橋 新太郎 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (00145830)
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Keywords | 前頭連合野 / 情報の表象 / 情報処理機構 / 遅延反応課題 / 眼球運動 / ワーキングメモリ / 多重情報表現 / 神経回路網 |
Research Abstract |
本研究は、マルチモーダルな情報処理に深く関わる前頭連合野背外側部ニューロン群の活動を指標に、(1)前頭連合野背外側部の神経回路網はどのような方略により多重で柔軟な情報表現を実現しているのか、(2)情報処理の過程で、神経回路網上に表現されている情報はどのように変化するのか、(3)その変化のパターンにはどのような規則性が見られるのか、(4)このような変化を生じるメカニズムは何か、を解明する目的で計画した。現在2頭のサルに、眼球運動を使った遅延反応(ODR)注視点に現れる視覚刺激の色の違いにより上下左右のいずれかの位置へ眼球運動を行わせる課題(O-ODR課題)、手がかり刺激として視覚刺激を上下左右の4ヶ所に同時提示し、遅延後に4ヶ所のいずれかに眼球運動を行わせる課題(S-ODR課題)を行わせ、前頭連合野背外側部より単一ニューロン活動の記録を実施している。特に、主溝内部ならびに周辺の皮質における課題関連活動の空間的分布、ならびにその時間的な変化を明らかにするため、これらの領域の広い範囲から万遍なくニューロン活動を記録するように試みている。現在までに視覚刺激の色関連情報や呈示位置関連情報の登録や保持に関わるニューロンが見出され、これらのニューロンの空間的な分布が頭頂葉や側頭葉から前頭連合野に入力する線維の分布と対応していることが明らかになっている。今後は、このような視覚情報表現が課題の進行に伴ってどのように変化していくのか、このような変化が眼球運動の方向に関する情報の生成とどのように関わっているのかを検討し、前頭連合野における情報表現のしくみと情報処理機構を明らかにする。
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[Publications] Funahashi, S., Takeda, K.: "What information is represented by prefrontal neuronal activities?"Cognition and Emotion in the Brain. 93-104 (2003)
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[Publications] Funahashi, S.: "Information processing in the primate prefrontal cortex"Prefrontal Cortex : From Synaptic Plasticity to Cognition. 201-218 (2004)
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[Publications] Funahashi, S., takeda, K.: "Information processes in the primate prefrontal cortex in relation to working memory processes"Reviews in the Neurosciences. 13. 313-345 (2002)
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[Publications] Takeda, K., Funahashi, S.: "Population vector analysis of primate prefrontal activity during spatial working memory"Cerebral Cortex. (印刷中). (2004)