2005 Fiscal Year Annual Research Report
初期視覚系における輸郭線の折れ曲がり、分岐の表現の神経メカニズムの研究
Project/Area Number |
14380371
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 南 生理学研究所, 生体情報研究系, 助教授 (20311194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 英彦 生理学研究所, 生体情報研究系, 教授 (00153669)
小川 正 生理学研究所, 生体情報研究系, 助手 (50311197)
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Keywords | 大脳皮質視覚野 / 輪郭線 / 折れ曲がり |
Research Abstract |
本研究課題は物体の形状を認識する過程を明らかにするために図形の輪郭に含まれる折れ曲がりや接合パターンが初期視覚野でどのように検出されているのかを調べることを目的とする。これまで、注視課題を遂行中の二頭のサルの第二次視覚野のII/III層より単一細胞記録を行い、従来考えられてきた以上に多くの細胞が折れ曲がりに対して選択性を示し、一方個々の半直線成分に依らずに折れ曲がりの角度や刺激の方向を表すものがないことが明らかにした。多数の細胞で刺激セットに対する反応が1〜2方向の半直線成分に依存しており、それらは半直線成分を単独で呈示して調べた方位選択性とよく合致した。それらの多くは二本の半直線成分の特異的な組み合わせに依存し、単に個々の半直線成分に反応するものではなかった。こうした折れ曲がり選択性の形成のメカニズムを明らかにすることを目的に今年度も引き続き以下の実験解析を行った。(1)方位選択的な抑制性入力の寄与を評価するために第二次視覚野の結果をもとに抑制入力を含む線形モデルによる解析を行った。その結果、各半直線成分に対する興奮性および抑制性反応の加算モデルにより第二次視覚野における折れ曲がり選択性の形成をよく説明できることが明らかになった。また折れ曲がり刺激の場合には興奮性および抑制性の反応のいずれもひきおこさない半直線成分が擬似的に最適線成分として働く場合があることが示された。(2)第二次視覚野の主要入力先である第一視覚野において同様の刺激セットを用いて記録した。第二次視覚野のニューロンの性質と比較すると、第一次視覚野のニューロンの反応選択性は直線ないしは直角の表現に限定されることが明らかになった。これらの結果は第二次視覚野が方位選択的な線情報の組み合わせにより輪郭線の折れ曲がりや分岐を検出する最初のステップであることを示唆する。
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