2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14380378
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Research Institution | Seijoh University |
Principal Investigator |
金子 章道 星城大学, リハビリテーション学部, 教授 (00051491)
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Keywords | 受容野 / 側抑制 / 水平細胞 / 錐体視細胞 / カルシウム電流 / pH / イモリ / 網膜 |
Research Abstract |
感覚神経系において受容野周辺からの側抑制は、受けた刺激の輪郭を際立たせ、像や物体の形の認識の上で極めて重要なメカニズムである。視覚神経系の受容野周辺部の形成には網膜の水平細胞から視細胞へのフィードバックが関与しているという仮説は1970年代から多くの研究者が認めるところであった。しかし、その機構については研究者の見解は一致していない。このフィードバック機構にはGABAを介する機構とGABAを介さない機構があるように思われるので、この両面からフィードバック機構を解明した。水平細胞から錐体視細胞へのGABAに依存しないフィードバック効果については、一昨年度来検討を続けてきたが、この効果は電界効果ではなく、陥入型シナプス間隙におけるpHの変化によりもたらされることを確認した。すなわち、水平細胞が過分極すると錐体視細胞の陥入型シナプス間隙がアルカリ化して錐体視細胞のカルシウム電流は増大し伝達物質放出量が増加すること、脱分極するとシナプス間隙が酸性化してカルシウム電流が減少し伝達物質放出量が減少すること、と結論した。 本年度は水平細胞の膜電位変化が細胞外のpHを変化させるかどうか、また変化が見られた場合にはpHを変化させるメカニズムは何かを検討した。コイ網膜から水平細胞を単離し、細胞外のpHをpH指示薬5-hexadecanoylaminofluorescein(H110)を用いて測定した。この色素は細胞膜を透過せず、その外側に結合すると考えられるので、水平細胞外側のpHを測定することが出来る。水平細胞を高K液に暴露して脱分極させると、膜電位の変化量に応じてpHの低下(酸性化)が見られた。強く脱分極させるとpH変化量は0.2に及んだ。脱分極による酸性化は細胞外液のカルシウムには依存しなかったが、0.5mM NEM(N-ethylmaleimide)や1μM Bafilomycin A1により阻害された。これらの結果から、観察されたpH変化はATP依存性のプロトンポンプの働きによって生じている可能性が強く示唆された。
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Research Products
(2 results)