2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入を駆使した内皮細胞誘導型ハイブリッド人工血管の開発
Project/Area Number |
14380387
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
平田 哲 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (80199067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹嶋 唯博 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20109515)
東 信良 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30250559)
赤坂 伸之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (30281885)
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Keywords | 小口径人工血管 / 同種動脈グラフト / 血管新生 / 内皮細胞 / 脱細胞化 |
Research Abstract |
大動物での小口径人工血管の実現は難しく、いまだ満足すべき報告が無く、開存自体が達成されない。人工材料の内皮細胞化が困難で、早期血栓閉塞を招くことや、瘤化の問題があり、容易ではない。 今回我々も、この難題に直面し、人工材料ではいまだ満足すべきモデルを確立できていない。 そこで、生物材料に着目し、以下のタイプの代用血管を模索した。 (1)脱細胞化同種動脈グラフト: 動脈そのものの骨格を利用するもので、細胞成分を除去して拒絶反応を最小限におさえている。そのままでは、小口径代用血管としては血栓閉塞する可能性が高いので、内皮細胞を播種したり、骨髄細胞を播種したモデルを作成した。内皮細胞は、拒絶反応のない自家のものを用いて内腔の抗血栓性を抑え、初期の血栓閉塞を防ごうとするものである。骨髄細胞は、骨髄細胞中の幹細胞が脱細胞化した血管の骨組みの中で、血管組織の再構築に寄与することを期待したものである。 (2)コラーゲンおよびフィブリンマトリックスによる代用血管: 動脈の構成成分であるI型コラーゲンのマトリックスを骨組みとして、その中に培養した血管平滑筋細胞代用血管を作成し、内腔面に内皮細胞を播種し、外膜側に線維芽細胞を播種して、それぞれ抗血栓性および弾性機能を付与したグラフトを作成したもの。 (3)血管柄付き筋肉弁移植: 小口径代用血管が困難でも、血管付き組織を移植することで、代用血管としての機能を代用する。すなわち、まずイヌの下肢虚血モデルを作成し、イヌの腹直筋を下腹壁動脈付きで尾側へ反転してイヌ膝上部へ引きおろし、筋肉を虚血肢に埋め込む。この筋肉に遺伝子導入を行って早期の血管新生を促し、代用血管としての役割を賦与する。 以上のモデルを作成した結果、(3)のモデルについてはすでにモデルが確立し、HGF遺伝子導入例や血管新生促進医薬注入例での良好な血管新生効果が得られており、その結果を元に研究成果報告書を作成する。また、(1)のモデルについても、良好な内面性状が達成されており、使用する細胞への遺伝子導入などさらなる研究の継続によって、将来有望な代用血管になりうると考えられる。
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