2003 Fiscal Year Annual Research Report
人工心臓血液適合性向上のためのメゾスケール解析方法の開発
Project/Area Number |
14380389
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
増澤 徹 茨城大学, 工学部, 教授 (40199691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 隆志 産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門(研究職), 副部門長 (10358278)
大島 郁也 茨城大学, 工学部, 講師 (80007632)
田中 伸厚 茨城大学, 工学部, 助教授 (30323207)
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Keywords | 人工心臓 / 血液適合性 / メゾスケール解析 / 流体解析 / 溶血 / 流れの可視化 / 磁気浮上ポンプ |
Research Abstract |
試験対象となる人工心臓の開発としてラジアル型磁気支持方式を採用した磁気浮上遠心血液ポンプの開発を行った.溶血試験が可能な最大外径87mm.高さ56mmの磁気浮上遠心ポンプを開発し溶血試験を行った.溶血試験は成山羊新鮮血500mlを閉鎖回路に封入し4時間ポンプを駆動し,NIHを算出した.その結果結果,本磁気浮上ポンプは0.0043g/100Lを示し,非常に優れた溶血性能を示し,本研究に使用可能な人工心臓の開発が行えた.また,メゾスケール流れ可視化のために顕微鏡下でメゾスケール流れを観察可能なマイクロ流路をMEMS技術を用いて製作した. 数値流体解析では、血液流れに適した手法と考えられる粒子法(SPH法)を用いて赤血球および血漿すべてを粒子の集団として記述する二次元Two-way粒子法を開発した。その手法を用いて、赤血球の基本的な挙動であるTank Tread運動や軸集中現象を解析し、実験結果と比べ妥当な結果を得ることができた。昨年開発したOne-way粒子法に比べ、赤血球の変形などを正確に表現できるため、赤血球にかかるせん断応力のより正確な評価が可能となると考えられる。 可視化法に関してはマイクロスコピックビデオシステムのレーザ照射装置の改良を行った.2倍の大きさの回転せん断負荷装置の空間速度分布の計測を行い,600rpm(実機4000rpmに相当)の場合に粗さの違いで速度分布に影響がでることを確認した. 人工心臓表面粗さの血液適合性への関与解明に関しては,せん断負荷装置を用い,三種類の粗さの影響を新鮮牛血の溶血試験で調べた.溶血量の平均値(n=8)は,Ra0.1μmでは5.4mg/dL, Ra0.35μmで7.9mg/dL, Ra0.8μmで12.2mg/dLと,Ra0.1μmとRa0.8μmの間の有意差はP≦0.005で,新鮮牛血においても溶血を惹起する閾値が認められた.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 小沼弘幸, 増澤徹, 田中伸厚, 中村省一郎, 山根隆志: "遠心血液ポンプの設計指標の確立-血液せん断負荷装置内のDNS解析-"生活支援工学系学会連合大会講演予稿集. 1. 35 (2003)
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[Publications] 丸山修, 山根隆志, 増澤徹, 他: "改良型マイクロカプセル模擬血液を使用した遠心血液ポンプの溶血特性"生活支援工学系学会連合大会講演予稿集. 1. 34 (2003)
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[Publications] 高野龍雄, 岩田賢, 田中伸厚, 増澤徹: "SPH法を用いた血流のミクロ・モデル解析"生活支援工学系学会連合大会講演予稿集. 1. 36 (2003)
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[Publications] 高野龍雄, 田中伸厚: "SPH法を用いた血流のマイクロ・シミュレーション"2003年度日本流体力学会年会講演論文集. 22. 100-101 (2003)
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[Publications] 岩田 賢, 田中 伸厚: "DEMを用いた血流の数値シミュレーション"機講論. 03-3. 35-36 (2003)
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[Publications] 沼田雄亮, 大島郁也, 増澤徹, 丸山修, 山根隆志, 他: "人工心臓における材料表面粗さと血球破壊に関する研究"茨城講演会講演論文集. 030-3. 189 (2003)